自閉症のO君 | 豊島 みくに園通信

豊島 みくに園通信

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 何でも先取りして動いてしまうO君のことが気になっていました。
とにかくじっとしていることが苦手で次々と勝手に自分のスケジュールを
作ってやっていくのです。それは困ることもあり、止めようとすると大抵抗。
お使いも走ってきて、走って帰るような働き者の彼を何とか生かせないかと
悩んでいました。
 そこで3年前のK先生による発達検査のDVDを再度、皆で見直してみました。
90分の映像の中には幼さの残る表情をした彼が映っていました。
抵抗しながらも与えられた課題になるときちんとこなしていく様子を見て
あらためて彼の能力の高さに気づきました。
K先生の「人間として生きていかねばならないのに1年、2年と延ばしていて
どうするの?」というストレートな言葉が胸に届きました。
施設職員の壁「~だからできない」という弁解で蓋をしてしまう、または
「以前に比べたら成長したから」という自己満足、いつまでこんなことを
やっているのだと反省しました。

 翌日、「4時の男」としてお使いにやってくる彼を丁重に迎えました。
いつもはカバンに連絡物を入れる時間が待てなくて勝手に爪切りを始めて
しまいます。深爪になるからと止めても毎日切ります。
①ビーズ通し ②爪切りと書いたスケジュール表を見て、静かに着席。
さっさとビーズ通しを始めるのでした。小さなビーズなので難しいのですが
1日目 50粒 15分  2日目 50粒8分  3日目 100粒 15分 とどんどん
上手になります。
 こんなにきちんと仕事ができるのに、職員の視点がずれていて、放って
おいてごめんね!と謝りました。
やがてビーズのれんの作品が立派に仕上がることでしょう。
それは母が幼少時から一生懸命彼を育てた愛情の一粒一粒の証です。
私たち施設職員はその一粒をきちんと受け止めて、あきらめないで努力し続け
ないといけないと思うのでした。
                    ( kame  
岡川君