静寂に身を潜めるように月が空に浮かぶ

黒ずんだオレンジの光が闇を照らす

満月は数日前、月は少しずつ欠けてゆく

私は今、目覚め、書棚の本を取り出した


街は吐息をたてながら眠りについている

今日は珍しく、犬の遠吠えも聞こえない

不気味な月に誰もが恐れを抱いているのかもしれない

暗がりの中で文字をたどっていると目に痛みを感じる


毎日の寝不足が神経を混乱させているようだ

私は時に溜息をつき、そして空想にふける

都会を離れ、かなりの時間が過ぎていた

私の新たな暮らしもヨチヨチ歩きのままである


あなたは私を忘れ、相変わらず旅を続けているのだろう

私は夢を捨て、

あなたは夢を捨てなかった

互いの人生は、あの時、すれ違ってしまったのだ


少しも悲しくはなかった 二人で現実を受け入れたまでだ

私は私の人生を歩む ただそれだけのことだ

あなたはあなたの人生を歩む ただそれだけのことだ

今夜の月は、離れ離れとなった私達の頭上に輝いているのだ


by手嶋純