私は軽い眩暈で床に倒れこんでしまった

額には小さな痣が残ってしまった

古いコタツだけが私の心と体を温めてくれた

ベットの上に放り出した携帯は無言のままだった

私は愛する男に未練を抱き続けていた

男は二度と私に愛をくれることはなかった

春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、そして冬が訪れた

今では季節の移ろいも鬱陶しいと思うばかりだった

朝も昼、そして夜も私は一人だった

家と会社をロボットのように正確に往復した

私は三十路を過ぎて、結婚も億劫に思えてきた

もう幸せを夢見る女ではなくなっていた

何事も面倒で化粧も中途半端なままだった

花瓶のガーベラはすでら枯れ果てていた

私の溜息が部屋に充満し、息苦しいばかりだ

今夜も、私は午前三時まで男を待っているのだった

 

by手嶋純