夏場に働き続けていた蟻も

今はめっきりと少なくなった

私が知らぬ間に季節は移りゆく

仕立てたばかりの浴衣も

夏に出番はなかった

彼氏と見るはずだった花火は幻

私には冬の花火がよく似合う


田舎はめっきり秋。むしろ朝方は冬を思わせる寒さだ。僕の家は黄金色の稲穂で取り囲まれている。数日後には、稲刈りが本格化する。高校卒業以来、稲刈りを見るのは久しぶりだ。幼い頃は、稲刈りが大きなイベントだった。朝から大勢の人々が集まり、一斉に稲を刈り、束ね、そして脱穀をした。朝からご馳走が並べられ、夜は大宴会が夜半まで続いた。僕達も年に一度のご馳走にありつけた。

しかし、今は農業を継ぐ若い人は誰もいない。農家には年金暮らしの老人ばかりがいるのだ。家で食べる野菜も自らは作らず、スーパーへ買いにゆく。もはや農業という産業は時代に取り残されてしまったのだ。そして今ではお金を払えば、農作業のすべてを専門業者が引き受ける。国内の自給率を高めようと農水省が声高らかに叫んでも、農家は誰も耳をかさない、むしろかせないのだ。

日本の商社が全世界を回って、農水産物を買いあさり、それらを大規模スーパーが低価格で消費者に販売する。国内の農水産物を好んで買う人はたかがしれている。家の近くには荒れ放題の田畑、山林が残されてしまった。人が手入れをしなくなった里山には鳥や小動物さえ住めないのだ。外来植物や外来動物だけがどんどんと繁殖してゆく。日本固有の動植物はまさに危機的な状況だ。文明の進歩によって僕達は素晴らしい生活を享受している。が、日本古来のものは時とともに消えていくのだ。

秋は何をしても寂しさが募るものだ。