野口晴哉(のぐちはるちか)氏の本を
久しぶりに読み返しました。
『風邪の効用』と『健康生活の原理』
両方共、全生社から出版されたものですが
『風邪の効用』は昭和37年初版だから私が生まれる前の本です。
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風邪は治すものではなくて経過するものであり、
その為に体の交通整理をするのですから、
このことを間違わないで呑み込んで頂きたい。
風邪を引いて焦るのは風邪を無駄にする行為です。
風邪を無駄にしないで活かそうと考えると、
風邪は普通よりスラスラ経過してしまうのです。
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この本の書評を作家の伊藤桂一氏が、昭和43年に朝日新聞に
書いています。
「私はこの本を手にしたときから、自身の健康観を基本的に
考え直すようになった。
同時に人生観まで変わってきて、人生を明るく肯定的に
みるようになった。
つまりこの薄い小冊子は、単にカゼの本質を説くだけでなく、
現代人の病める通念を救済する、重要な端緒を
もっているのである。
この本を読む人は、たぶん衝撃を覚えるだろう。
カゼについての固定観念が根本から崩されるからである。
そしてもちろんこの本に説かれていることの方が、
どう考えても正しい、ということが否応なくわかる。
一冊の薄い書物から、これほど実利的な収穫を得たのは、
私ははじめてである。」
また、山口昌男氏は『知の遠近法』で次のように述べています。
「ここで風邪についていわれることは自然環境についての学、
社会についての学・・・など様々な知的分野で今後
開発されるメタファーを先取りしている。
「経過する」というメタファー的表現(に)は・・・
少なくとも・・・廻りの自然を敵対視するという近代医学の
基本的世界観は踏襲されていない。」
難しいことはさておき
人間の持つ本来の力を私たちはつかみきれていない
と感じています。
抗菌が叫ばれ始めてから、私たちの抵抗力はもしかしたら
どんどん落ちているのかもしれません。
『風邪の効用』の中では赤ちゃんに石鹸を使うな、
と説いています。
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皮膚の生活機能を鍛錬するのではなく、
あべこべに鈍くするような方向に行きつつあるのだと言っても
間違いではないと思う。
それで私は、赤ちゃんの皮膚自身で体の掃除ができるような
体にすることが大切だと言っているのです。
特に風邪を引いた場合には、そういう皮膚の強い弱いの差が
非常に物を言います。
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私は、この本を読んだのがきっかけというわけではありませんが
何年も石鹸で体を洗ったことがありません。
ただ、お湯で流してタオルでこするだけです。
髪だけは石鹸で洗っていますが
シャンプーやリンスも使っていません。
嫁さんが何も言わないので、問題はないのでしょう(笑)
風邪を引いたら
今は体が調整してくれているんだな、
と思えば気持も楽になりますよね。