がん治療に対する認識の変化 その2 | がん治療は頑張らない。

がん治療は頑張らない。

癌発覚でステージⅣb、JCOG1311ランダム化比較試験に参加しddTC+Bev療法が奏功し多発リンパ節転移は消失し現在経過観察2年目です。
癌により多少の障害はありますが無事社会復帰できています。
そして癌治療はエビデンス重視で考えています。

がん発覚後は根治の可能性のない病状に絶望を感じその精神的な抑圧に苦しんだのですがNeutro(好中球)が下がってTC+Avastinを3回skipした時に霧が晴れた様に体調が良くなりました。

体調が良くなるにつれて精神的にもポジティブになり元々の自分に戻る事が出来たのです。
この時に腫瘍マーカーの値は基準値になりがんの総量が減少した事を体感しました。

抗がん剤治療は確かに副作用が辛く苦しい事も多いのですが癌の増殖を抑えて癌による辛い症状を緩和してくれます。

手術や放射線による治療が受けられない私には化学療法しか治療の選択肢はなく全身化学療法でしか延命は出来ません。

でも今はそのことを悔やんだり悲観的な思いで考えなくなりました。

確かにリンパ節に点在する私の癌は抗がん剤での治療が一番効果的です。
大きさも殆どが1cm程度の大きさだからです。
エビデンスから言っても原発の子宮を全摘したとしても予後は変わらないし返って体力を消耗して予後を悪くする可能性もあります。

癌という病気の本質がわかってくると癌は転移して当たり前な物だと理解できる様になりました。
確かにステージが低ければ手術で根治できる可能性は高くなりますが根治を決定する5年を過ぎてから癌を再発する人もいますし、5年過ぎたからといって癌細胞が全て消えて無くなるわけでもないのです。
(もちろん再発しない方もいます。)

癌はしたたかでズル賢い。
そしてブレーキの壊れたブルトーザーの様に爆走し増殖するのです。
リンパ節に隠れて寄生主の免疫力が弱った時に増殖を開始してどんどん飛び火していく。
増殖した癌が大きくなり多臓器の機能を障害する様になると致命的なことにもなるし、増殖の過程で異化亢進が進み悪液質が進行すれば体力が削がれ感染や炎症により命を落とすことになります。
これが癌という病気の特性なのだと理解できるようになりました。

たとえ早期に検診で癌が見つかり手術したとしても私の場合リンパ節に点在する様相からして再発した可能性が高いと思います。

癌の発病は交通事故にあったようなもの。

と押川勝太郎Drはその著書の中で癌罹患について表現しています。

交通事故と同じでなりたくてなるものではない。
でも癌になってしまった。
では今後どうするか?

孫子の兵法ではありませんがまずは相手をよく知ることが肝要だと思ってます。
癌の特性を知り自分の状況にあった戦い方をすればいいのです。

普通の人は癌と言う病気を受け入れるのに1ヶ月かかると言われていますが私は約4ヵ月かかりました。

たくさん悩んで考えてやっと自分の病気を理解できるところまで来ました。

今は抗がん剤が効いて元気ですがいずれTC+Avastinも効力が薄れるでしょう。
抗がん剤によるがんの抑制効果がなくなったら今度は緩和ケアを受けるつもりです。

緩和ケアに移行する事も考えて今から訪問看護師にも週一回来てもらっています。
早いかもしれませんが元気な時に出来るだけベースを作っておけばいざという時対応がスムーズになります。
夫にも先立たれた子供もいない私にはそれなりの準備は必要なのです。

私が子宮頚がんのステージⅣbだというと「なんてかわいそうに」という顔で見られる事が多いのだけれど私はそんなに不幸だとは思ってはいないのです。

確かに癌が発覚する前に漠然と立てていた人生70年計画は人生60年計画に短縮されましたがその分濃縮した人生を送ろうと思っています。

今までも刹那的でストイックに好きな事や仕事に打ち込んできたので現時点でも人生に悔いはなく、今は今で休職中で身体が化学療法の副作用で辛ければ一日中ソファーで横になりながらNetflixで映画やドラマ三昧だしそれなりに良い時間を過ごせていると思っています。


治療が終わればまたバイクに乗り走るだろうし、流石にサーキット走行やオフロードのコース走行はしないだろうけれど今迄培ったテクニックを駆使してツーリング楽しむはずです。
多少のリンパ浮腫があったとしても足が動かないわけじゃなしバイクの操作はできますからね。(笑)


担当の訪問看護師さんとも仲良しになってきているし、いざとなれば沢山甘えさせて貰うつもりでいます。


私はスポーツライディング中のアクシデントで骨折を二回経験していて一度は全身麻酔下での内視鏡手術も経験しました。
今でもその時の後遺症で右肩の痛みは取れません。
一度損傷したものは元には戻らない事を知っているので癌の治療もChemoで良いのかもしれないと考えています。


後は出来るだけ人生60年計画を完遂出来るように運動してバランス良く食べて治療を続行出来る様に体調を整えて行くことだけです。

今後は子宮頚がんによる合併症もあるかもしれません。
その時はその時です。
手術や放射線治療を受けた方はその後遺症でもっと大変な思いをしているのだから私も頑張らなければなりません。


でも治療は標準治療の範囲内で受けるつもりです。
打つ手が尽きたならそこで緩和ケアを受ければいい。
抗がん剤治療もエンドレスに行うつもりは全くありません。
化学療法は二回程度でいいのかなと。

今が一番効果的なレジメンでの化学療法なのでとにかく今回はがっつりと治療に取り組みますがその後は力を抜いて緩和的に治療を受けたいですね。

治療もやり過ぎると命縮めてしまいそうだから。

これからはネガティヴにはならずポジティブに生きていきます。
そしてこんな私をサポートしてくれている人達に感謝しつつ笑顔で1日1日を過ごしていこうと思います。ニコニコ