前回の続きです。
母が約束を破り、夢を勝手に言いふらしたことに、私は怒り心頭だった。なぜ約束を破ったのか? そのことについて切り出すと、母の口からは信じらない言葉が出てきた。

*これは、39歳を過ぎてから『思春期』を迎え、心を成長させるために奮闘する私の備忘録である*

母の答えはこうだった。

「あなたは、本気で宝塚に入りたいんでしょう? それなら人に知られても、恥ずかしくないでしょう。ママは、あなたのために、本気度を試してあげたの」

理屈は通っている。けれども、私の心を完全に無視している。そして『あなたのためを思ってトーク』で、私に罪悪感に持たせるひどい話法だ。一体どこまで人のせいにし続けるんだ!と思いながらも、心の中のもうひとりの私が説得する。「ママは、私のためにわざと悪役をやってくれてる。私はまだまだ未熟だから、言ってもらえるのは、有り難いことだ」本当はこんなことを、自分に言い聞かせることはないのに。

やがて、私は、当然のごとく、うつ状態に陥った。母が原因で、今で言うカサンドラ症候群になった。私は「母に何を言っても無駄だ。怒らせないように生活するのがいい。我慢すれば、傷つかない」と諦めるようになった。ひきこもっていたの17年間は、夢ややりたいことを一生懸命あきらめるための時間だった。

母としては「てる子のために献身的に捧げた期間」だったらしい。しかし、私に本音をこぼした親戚たちは、「てるちゃんのお母さんは、てるちゃんの病気を利用して『いい母親』を演じていた。それが、ものすごく嫌だった」といっていた。

しかし、その母の支配から逃れるための家出をして、やっと自分の足で歩き始めた。

母を信じるべからず。
自分を信じるべし。

けれども、17年、いや、正確には34年の年月を、社会に出ることなく、読書やネットに没頭してごまかしてきた。自分の気持ちではなく、母の機嫌を優先して生きてしまった。その代償は大きい。

そんなダメダメな自分を信じるには、どうしたらいいのかしら?「四十にして惑わず」どころではない。まずは、社会との関わりを少しでも増やすしかない。