顧客に同情すること | 三宮の不動産屋女社長奮闘記

前に紹介したことがある、私のマンションの元住人で、

淡路の施設に移住して行ったテラミンさん の、

いろんな手続き、いろんな申し込みを受理してくださった、

役所の福祉の窓口の職員さんから、

その後、何度か住まいを探している方を、ご紹介いただきました。



彼女の仕事柄、生活保護を受けておられる方がほとんどです。


その職員さんからの手紙というか、
メモを手にしたお客様が、事務所に私を訪ねて来られました。

そのメモには、うちの事務所の地図と住所、そして、

「照喜屋不動産の高橋さん、この方が親切です」

との、コメントが書いてありました。



そのメモを手に私を訪ねて来られた人は、

56歳の韓国人女性で、

問わず語りに、

「13年前に日本人と結婚して日本に来たが、

騙され、暴力も振るわれ、子供もいなく、

身よりもない日本で一人ぼっちになった」と。



それ以上の事情には触れないでおこうと思ったのですが、
韓国に帰らないのですかとだけ聞いてみたところ、


「兄弟もいるけど、反対をおして全てを捨てて日本に来たので、

 意地でも帰りたくなくて、

 どんな事をしてでも日本で頑張りたい。」
「一人になって、いろんな仕事をしていたけど、

 今、雇ってもらってた店から、突然、解雇されて、

 住んでいる所も、出ないといけなくなった。」

「市営住宅を申し込んでも、外国人なので、

 当たらないし。」

「皆さんの税金を使わせてもらうのは、申し訳ないけど、

皿洗いくらいしか仕事はなく、悔しくて情けなくて・・・」

と、切羽詰った、
ほんとに悲しい表情、悔しい表情でした。


私に何ができるわけではありませんが、

「助けてあげたい」と思いました。


「絶望しないでください。」

「役所のYさんと相談しながら考えていきましょう。」

「私も、まず、借りられる部屋を探しますから。」



後日の連絡の約束をさせてもらいましたがその方が帰られた後、
とても悲しい気分になりました。


夜に友人に電話して、その話をしたところ、


「全体的には、かわいそうで一肌脱いであげたいと思うけど、

あんたも、自分も、そういうタイプ過ぎるところがあるし、

かわいそうに弱いというかね。」

「部分的に考えてみると、

殺されそうになる、店を解雇される、騙された、

というところに、不明瞭さがあるようにも感じるしね。」

「照喜屋が、あんたが、迷惑を受けることは無いのやろうけど、

怪訝材料も無いとは言い切れないし、

親身になってあげることは大切やと思うんやけどなあ。」

「あんたの性格上、

しっかり、周辺事情も見極めながら、

変な言い方になるけど、

冷静に、親身になってあげることやと思うで。」



そんなアドバイスをしてくれました。


確かに、とは思いますが、

それが、大人の、商売人の持つべき姿勢なのでしょうが・・・


心配する度合い、注意する度合い、慎重になる度合いと、

振り返らないで進んでしまう人情というのか、

そこには、失敗もあるかもしれませんが、

度合いの測り方が、わたしには、解らないというか、


「確かに」とは思うけれど、「なるほど」とは思えない、

どこか答えが曖昧な頭の中、心の中になってしまいました。



まあ、「かわいそうに弱い」で、痛い目にあったこともあるし、
アドバイスは、ありがたく受けながら、
できる限りの親身で、助けられるところがあれば、
力になってあげよう。

こんな結論でいいのじゃないかと思います。