写真家・石山貴美子さんの写真展に行って来た。

—わたしが出会った素敵な作家たち—
1970年代雑誌「面白半分」より

石山さんとは、私がまだ20代で編集者を目指し駆け出しのときにご一緒させて頂いたご縁。以来、何度かお仕事をさせて頂き、出版業界をやめてからも写真展などのご案内を頂いている。

今回の写真展はすべて雑誌「面白半分」での仕事として石山さんがかつて撮ったもの。
1970年代、若かりし頃の文化人・著名人たちの飾らない生々しい表情。切り取られ静止した一瞬。作家たちの声やその前後の表情までが写真を飛び越えこちらに向かってくるようだ。

「当時はね、作家さんたちを撮りにくるカメラマンといったら男の人ばかりだった時代。こんな小娘が写真撮るの?ってちょっと気をゆるめるような感じだったかも」とご本人は苦笑いする。

作家以外にも大物著名人・文化人の秘蔵写真も。ここにいる人達をこの人が全部撮ったんだ・・・。その価値はわかる人にしかわかるまい。

すべてモノクロの世界。1枚1枚、暗室でご自身が手焼きでおこしているという。

「このそれぞれの1カットすべての撮影状況を覚えていますか」と質問してみた。
「うん、覚えてる。でもね、この1枚だけはどこだったか・・・ちょっとあやしいのよ」とある作家の写真の前に立った。

「この人にしか撮れないこの一枚」

デジカメの時代になってだいぶ経つ。フィルムのときは失敗はできないという緊張感と集中力が1カットの作品の質をあげていたのだと思う。今はカメラの性能も良くなりテクニックにおいては素人とプロの境目がボーダレスになっているなか、この人にしか撮れない1枚はやはりプロフェッショナルな仕事なのだ。

石山さんの写真展は5月14日(土)まで12:00~19:00(最終日17:00)
中央区銀座1-9-8 奥野ビル 3階&地下の巷房で開催されています。