こんばんは。キラキラ

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第62回試験・一般知識

 

(a)

「一般気象学」p251の図9.1「1月における経度平均温度の緯度高度分布」を見ながら考えてみます。これによりますと、本文にあります通り、経度方向に平均気温が最も低い領域が赤道付近の高度15km(10km〜20km)付近、すなわち赤道付近の上部対流圏から下部成層圏に見られることがわかります。

 

これは、低緯度において対流活動が活発でハドレー循環の上昇流域にあたり、対流圏界面の高度が15~17km付近と高いことによるものです。これによって空気が高い高度まで上昇し、空気の断熱膨張の効果によって冷却されるため、赤道付近の上部対流圏から下部成層圏に経度平均気温が最も低い領域が形成されます。

 

したがって、本文の内容は正しいとなります。

 

(b)

中緯度付近の例として日本付近を考えますとわかりやすいと思いますが、対流圏界面の高さは、夏では平均的に高く、冬では低くなり、季節とともに変動します。

 

また、それよりも短い周期、すなわち移動性高気圧や温帯低気圧が日本付近にある場合においても対流圏界面の高さは変動します。例えば上層のトラフの高度で考えますとわかりやすいですが、移動性高気圧に覆われているとき、その上層ではリッジ(気圧の尾根)の部分で対流圏界面の高度が高いのに対し、温帯低気圧があるとき、その上層ではトラフの部分で低くなります。

 

したがって、本文の内容は誤りとなります。

 

(c)

「一般気象学」p254、図9.4「中層大気のラグランジュ的子午面循環の模式図」を見ますと、高度30km付近より上では、夏極に上昇流、冬極に下降流があり、それを結んで夏極から冬極‘に向かう水平流があることがわかります。

 

また、成層圏突然昇温においても大規模な大気の鉛直運動が起こります。冬から春にかけて対流圏から発生するプラネタリー波が伝播、すなわち下層から伝わってきますと、強い西風がそのプラネタリー波に遮られることにより減速し、極夜渦が崩れ始め、その結果として空気の下降が起こります。空気の下降が起こることによりその断熱圧縮で、一週間ほどの短期間に数十℃の急激な気温の上昇が起こるという現象です。

 

したがって、成層圏でも大規模な大気の鉛直運動は起こりますので本文の内容は誤りとなります。

 

(d)

「一般気象学」p22、図2.1「温度の高度分布と大気層の区分」およびp32、図2.6「電子数密度の高度分布」を見ながら考えてみます。

 

本文にありますように、熱圏では、窒素や酸素といった大気を構成する分子や原子が太陽放射に含まれる紫外線やX線などを吸収し、光電離によって電子を放出してイオン化しています。

 

空気を構成している窒素や酸素などの原子や分子が太陽放射中の波長の短い約0.1μm以下の紫外線やX線を吸収しますと、原子核の周りを回転している電子を放出するということが起きます。この現象を光電離といいます。

また、原子自体は電気的に中性ですが、原子核の周りを回転している電子はマイナスの電気を帯びています。これが放出されますと、電子を失った原子はプラスの電気を帯びるようになり、これをイオン化とよんでいます。

 

そこで2つの図を見ますと、特に電子数密度が大きいE層やF層が存在する高度は高度100kmよりも上層であり、すなわち熱圏に存在していることがわかります。

 

したがって、本文の内容は正しいとなります。

 

よって、正解は②ということになります。

 

では。バイバイ

 

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