こんばんは。
早速ですが、考えてみたいと思います。
第61回試験・実技試験2
まず、専門知識のおさらいとして赤外画像について触れておきたいと思います。赤外画像は、地表面や雲から放出される赤外線(地球放射)を捉えてそれを画像化したものです。一般知識では、「ステファン・ボルツマンの法則」について学習しました。これは「ある物体が黒体であれば、その放射量は物体の絶対温度によって決まる。」ということでした。これを利用し、放射量を測定することによって物体の絶対温度を求めることができます。こうして求めた温度のことを、「輝度温度」といいます。
赤外画像では、輝度温度が低い領域ほど白く(明るく)写り雲頂高度が高い雲域、輝度温度が高い領域ほど黒く(暗く)写り雲頂高度が低い雲域と判別することができます。ただし、十種雲形までを判別するには少なくとも可視画像と合わせて判読する必要があります。
これを踏まえて、今回の問題では、図7の領域A、領域B、領域Cの雲頂高度と、各領域に対応する図9の降水の強さの特徴について順に見ていきます。
(領域A)
まず、領域A、対馬の北東付近に着目しますと、雲域は灰色から明灰色であることから、やや雲頂高度が高いと読み取れます。一方、図9でその同じ領域に着目し、降水の強さを見ますと、ほとんど降水が認められないことがわかります。今回の問題では、赤外画像の特徴と、降水の強さの特徴を述べればよく、「なぜそうなるのか」という理由・根拠を問うているのではありませんのでご注意ください。したがって、
雲頂高度はやや高いものの、降水が認められない。(23字)
(気象業務支援センター解答例)
雲頂高度はやや高いが、降水はほとんどない(弱い)。(21字)
(領域B)
次に、領域B、室戸岬付近に着目しますと、雲域は先ほどの領域Aよりも暗く、領域全体が暗灰色で雲頂高度が低い雲域と読み取れます。一方、図9でその同じ領域に着目し、降水の強さを見ますと、降水強度が20mm/h〜50mm/hの強い降水域となっていることがわかります。したがって、
雲頂高度は低いが、強い降水域となっている。(21字)
(気象業務支援センター解答例)
雲頂高度は低いが、強い降水域が分布している。(22字)
(領域C)
最後に、領域C、大隅半島付近に着目します。問題文では「雲域と降水域それぞれの形状、雲域と比較した強い降水域の広がりについても述べよ。」とありますので、このことにも留意しながら見ていきますと、雲域は白いことから雲頂高度が高く、また形状は、対流雲の特徴として見られる団塊状となっていることがわかります。
一方、図9で同じ領域を見ますと、降水強度が80mm/h以上の降水域が見られ非常に強いだけでなく、先ほどの団塊状の雲域に対して、狭く集中し、線状に延びていることがわかります。したがって、
雲頂高度は高く団塊状だが、非常に強い降水域がそれより狭く集中し、線状に延びている。(41字)
(気象業務支援センター解答例)
雲は団塊状で雲頂高度は高く、雲域より狭い範囲に、非常に強い降水域が線状ににのびる。(40字)
ということになります。
では。