こんばんは。
今回は、図7および図8(下)を参考に24時間後に日本の東に予想されている低気圧に伴う地上の前線を解答図の枠線まで延びているものとし、前線記号を付して記入せよ、という内容で考えてみます。
まず、図8の850hPa面の気温と風、700hPa面の鉛直流の分布から前線解析で着目する要素として、等温線の集中帯の南縁(暖気側の縁)と風のシアー、および上昇流域を参考にします。
次に、地上低気圧が閉塞している段階なのかを判断します。
閉塞しているかどうかを判断する方法として主に2つの留意点があり、一つは低気圧中心の南側に寒気や乾燥域が流れ込んでいること、もう一つは850hPa面の暖気または高相当温位の空気が低気圧の前方に向かって凸状の突っ込みがあることが挙げられます。また、この突っ込みの先端部から850hPa面の温暖前線と寒冷前線が分かれており、この先端部は閉塞点と判断され、低気圧中心から閉塞点まで閉塞前線が延びている判断されます。
さらに、閉塞前線の存在が認められますと、今度はこの閉塞前線が温暖型閉塞前線か寒冷型閉塞前線のいずれかを判断します。その手順として、
温暖型閉塞前線:閉塞前線を挟んで相対的に前面の寒気が強い。
寒冷型閉塞前線:閉塞前線を挟んで相対的に後面の寒気が強い。
と判断されます。図8(下)で見ますと、閉塞前線の前面の方が後面よりも寒気が強いことから、今回の問題のケースは温暖型閉塞前線であると判断されます。
温暖型閉塞前線の特徴は、閉塞前線を挟んで、赤道側と極側の断面で見た場合、上の模式図にも書きましたが、寒気Aの進む速度が速く、暖気と寒気Bに追いつき、寒気Aが寒気Bよりも相対的に温度が高いために寒気Bの上を滑昇する形をとります。天気図上では閉塞前線と温暖前線が連続する形で、850hPa相当温位の場で見られる高相当温位の突っ込みの先端部の閉塞点から寒冷前線が分かれて延びている、いわゆる「入」の字の形状になります。
以上を踏まえて850hPa面の前線を解析しますと概ね上図のように解析されます。
これに基づいて地上の前線を解析するのですが、前線面が高度とともに寒気側に傾いているという構造を考慮して、温暖前線は約2°程度、寒冷前線は約1°程度暖気側にずらす形で描きますと、概ね下図のように描かれます。
(気象業務支援センター解答例)
では。