こんばんは。星空

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第61回試験・実技試験1・問1(3)


問1(1)の⑩では、図1の右下の別枠になっている東京の実況から、気温が3℃で天気は国際式天気記号を読み取って弱い雪であることがわかっています。では、気温が0℃以上であるにも関わらず、雪となる要因は何か、というのが今回の問題になります。

改めて図5に着目しますと前問の(3)①では、0℃となる高度について、970hPaと地上に近く、高度が低いという特徴が見られます。

次に、湿数において、970hPaの高度で6℃と大きく乾燥しているという特徴が見られます。

次に、問1(2)②において雲頂高度を求めましたが、その際に雲底高度が930hPa付近と推定されることを述べました。この付近の気温を見ますと-2℃程度で、一般的に降水が雨となる気温ではなく、雪片として落下すると考えられます。なおかつ、これより下層は次第に湿数が大きくなり、大気の状態が乾燥していることがわかります。

ここからは、一般知識の降水過程の復習になりますが、大気の状態が0℃よりも高い中で雪片が落下しますと、雪片は周囲の空気から顕熱が与えられることによって融解する方向に働きます。

 

一方で空気が乾燥しているということは、周囲の空気中にある水蒸気が少なく、雪片(氷粒子)へ飛び込んでくる水分子が少ない状態であり、逆に雪片の一部が昇華する際には、雪片から潜熱が奪われる方向に働きます。したがって、周囲の空気が乾燥しているほど昇華が盛んになるほど、それに伴う潜熱量も多くなります。

 

先ほどの0℃以上の周囲の空気から雪片に与えられる顕熱量と雪片の一部から奪われる潜熱量とを相対させて考えた場合、顕熱量の方が多ければ雪片は解けることになりますが、潜熱量の方が多ければ気温が0℃以上であっても解けにくくなります。

 

以上で考察したことを背景に改めて問題に戻りますと、東京上空が雪となる要因として、気温が0℃となる高度が低いことから、0℃以上の気層はごく下層であり、なおかつ、970hPa以下の気層の湿数がさらに大きくなっていることから、空気が乾燥している状態であることが考えられます。

 

したがって、解答は「東京上空では、」の書き出しを含めた30字程度で、

 

東京上空では、0℃以上の気層がごく下層で、かつ乾燥している。(30字)

 

(気象業務支援センター解答例)

 

東京上空では、気温が0℃以上の層が薄く、かつ乾燥している。(29字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ

 

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