こんばんは。

 

 

早速ですが。考えてみたいと思います。

 

 

第61回試験・専門知識

 (a)

まずは、利用者Aの「気温が30℃を超えると、かき氷の需要が増えるので、翌日の最高気温の予報精度が高い方の気象会社と契約したい。」という要望にXとYどちらの予報会社と契約するのが適切か見てみます。このケースでは気温ですが、気温の他に、降水量、降雪量、風速といった具体的な数値で示す予報のことを、「量的予報」とよんでいます。

 

この量的予報の精度評価には、平均誤差(ME)と二乗平均平方根誤差(RMSE)が用いられています。

例として、前回の第60回試験・専門知識・問14から平均誤差および二乗平均平方根誤差を実際に求めてみます。

 

まず、この期間の最高気温の予報について平均誤差を算出してみます。平均誤差を求めることによって実況値から見た予報値の系統的な偏りを検証することができます。

平均誤差(ME)は表に示しましたように、まず予報値から実況値を差し引いて差を求め、これを予報の回数(7日)分たし合わせた合計から予報の回数の7で割って平均して求めることができます。求めた値が0で最良、絶対値が大きいほど予報精度が悪いという評価になります。

A地点では、
{4+(-2)+(-3)+1+5+(-2)+(-2)}÷7≒+0.14

B地点では、
{4+(-2)+(-2)+2+0+(-2)+2}÷7≒+0.29

と求められました。この結果、A地点、B地点とも正の偏りがあることがわかります。
 

次に、この期間の最高気温の予報について2乗平均平方根誤差を算出してみます。2乗平均平方根誤差を求めることによって、予報誤差の標準的な大きさを検証することができます。

 

先ほどの(a)で求めた予報値から実況値を差し引いた差をそれぞれ2乗して差の2乗を求めます。次にこの求めた値を合計して予報した回数の7で割って平均し、さらにその平方根を求めた値が2乗平均平方根誤差になります。求めた値が0で最良、値が大きくなるほど予報精度が悪いという評価になります。

 

A地点では、

(16+4+9+1+25+4+4)÷7=9

√9=3

となります。

 

B地点では、

(16+4+4+4+0+4+4)÷7≒5.14

√5.14≒2.27

 

となります。この結果、予報誤差の平均的な大きさは、A地点の方が大きいことがわかります。

 

 以上をを踏まえて、XとYの両社を見ますと、平均誤差につきましては、両社とも絶対値が0.1で同じですが、二乗平均平方根誤差ではY社の方が値が小さく予報精度が良いという評価ですので、Y社が適切と判断されます。

 

(b)

次に、利用者Bの、「冬の関東平野部で野外イベントを複数回開催する予定である。雨が降ると延期しなければならないので、降水の有無の予報制度が高い方の気象会社と契約したい。」という要望のケースについて考えてみます。

 

ここでは降水の有無の予報の評価としてスレットスコアが用いられています。

 

「雨が降る/降らない」といった天気や大気の状態によって、どの種類・階級が起こるのかを断定的に予測したものを「カテゴリー予報」とよんでいます。このカテゴリー予報の精度評価には、適中率、空振り率、見逃し率、捕捉率、一致率、スレットスコアがあります。この中のスレットスコアとは、予報・実況ともに「現象あり」だった回数から予報を発表したすべての回数から予報・実況ともに「現象なし」の回数を差し引いた回数で割った値で、発生頻度が少ない予報を評価する指数として算出されるものです。この値が大きいほど予報精度が高いという評価になります。

 

そこで、両社を比較しますと、Y社の方がスレットスコアの値が大きく予報精度が良いという評価ですので、Y社が適切と判断されます。

 

(c)

最後に、利用者Cの「降水確率で翌日の商品の入荷数を決めるので、降水確率予報の精度が高い方の気象会社と契約したい。」というケースを考えてみます。

 

降水確率や発雷確率、大雨確率といった現象が起こる確率の予測のことを「確率予報」とよんでいます。この確率予報の精度評価には「ブライアスコア」が用いられています。

 

降水確率予報の場合は0%〜100%の間で発表されていますが、これを下の例に示しましたように、0〜1の値に変換します。例えば、降水確率が60%であれば0.6に変換するということです。実況では「降水なし」を0、「降水あり」を1として両者の差の2乗を積算してさらにその値を予報回数で割って求めます。その結果が0に近いほど予報精度が良く、1に近いほど予報精度が悪いという評価になります。

そこで、両社を比較しますと、Y社の方がスレットスコアの値が小さく予報精度が良いという評価ですので、Y社が適切と判断されます。

 

よって、正解は、3つのケース全てがY社が適切と判断されますので⑤ということになります。 

 

では。バイバイ

 

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