こんばんは。
早速ですが、考えてみたいと思います。
第61回試験・一般知識
(a)
一般気象学p279、およびp280の表10.1、
「人類起源の二酸化炭素収支」によりますと、焼畑や森林破壊などの土地利用改変、石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料燃焼およびセメント製造が人為的な二酸化炭素排出の主な要因になります。その内訳は、2002年〜2011年の平均値を見ますと、土地利用改変で0.9GtC/年(Gt:ギガトン、C:慣習上炭素に換算した量)、化石燃料燃焼およびセメント製造で8.3GtC/年の計9.2GtC/年が放出されており、その中の約半分の4.3GtC/年が大気中に蓄積されていると言われています。
したがって、約90%とする本文の内容は誤りとなります。
(b)
(気象庁HP:各種データ・資料>地球環境・気候>温室効果ガス>二酸化炭素分布情報>二酸化炭素濃度年増加量平面分布図
より)
大気中の二酸化炭素濃度の年変化率について、2021年から2022年の例を上図に載せてみました。人間活動がほとんどない南極域では直接の二酸化炭素の放出は少ないと考えられています。しかし、上図を見ますと、大気の運動に伴って二酸化炭素が南極域に運ばれていることから増加が認められていることがわかります。
したがって、本文の内容は誤りとなります。
(c)
本文にあります通り、大気の成分で温室効果を持つのは水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどが挙げられますが、温室効果への寄与率は、水蒸気が約50%、二酸化炭素が約30%、その他で約20%となっており、水蒸気は二酸化炭素よりも大きく温室効果に寄与しています。
したがって、本文の内容は誤りとなります。
(d)
先ほどの一般気象学p280の表10.1、「人類起源の二酸化炭素収支」に再び着目しますと、同じく2002年〜2011年の平均値で2.4GtC/年の二酸化炭素を海洋が吸収していることがわかります。
しかし大気中に放出された二酸化炭素を海洋が長期にわたって吸収することによって一般的に弱アルカリ性の海水のpHが低下してしまい、生態系への影響などが懸念されています。このような現象を「海洋酸性化」とよんでいます。
表面海水におけるpHの低下と海面水温の上昇により、海水の化学的性質が変化して、大気中の二酸化炭素の増加の影響を受けやすくなり、海洋が大気から二酸化炭素を吸収する能力が低下したり、海水の二酸化炭素の季節変動幅が拡大することが指摘されています。
(気象庁HP:知識・解説>海洋酸性化の知識>海洋酸性化の影響 より)
したがって、本文の内容は正しいとなります。
よって、正解は、(d)のみ正しく⑤ということになります。
では。