こんばんは。キラキラ

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第61回試験・専門知識

 

(a)(b)

まず、「一般気象学」p192、図7.24『冷気が暖気の下にもぐりこみ、位置のエネルギーが減ることを示す模式図』を見ながら考えてみます。


温帯低気圧の発生・発達に結びつく約数千km規模の偏西風帯の波動のことを「傾圧不安定波」とよんでいます。この傾圧不安定波がもしも起こらないとしますと、ジェット気流を挟んで赤道側では吸収する太陽放射エネルギーが宇宙空間へ出ていく地球放射エネルギーよりも大きくなるため大気の温度が上昇しようとする一方、極側では逆になり大気の温度は下降しようとして南北方向の温度傾度は大きくなる一方となります。しかし、実際には、温帯低気圧の発達は、中・高緯度において南北の温度傾度がある限度を超えたときに、極側と赤道側の温度傾度を解消しようとして起こる傾圧不安定波をエネルギー源としています。


図7.24(a)のように、冷気と暖気の密度が異なる空気が鉛直に立った壁を境にして並んでいる状況があるとします。この壁を取り除きますと、空気の混合がない限り、密度の大きい冷気は密度の小さい暖気の下にもぐりこみ、暖気は冷気の上に乗っていき、(b)の図のようになります。

 

(a)と(b)の状態を比較しますと、(b)の状態の空気全体の位置エネルギーは、密度の大きい、つまり重い空気が全て下にあり、密度の小さい、つまり軽い空気が全て上になることによって(a)の状態より小さくなります。この位置エネルギーの差が運動エネルギーに変換されたことになるわけです。なお、位置エネルギーの全体のうち、この運動エネルギーに変換された分の位置エネルギーのことを「有効位置エネルギー」とよんでいます。

 

つまり、発達中の低気圧では有効位置エネルギーが減少してその分、運動エネルギーに変換されて増大します。一方、本文にある水蒸気の凝結によって放出される潜熱の供給によって発達するのは熱帯低気圧になります。


したがって、(a)の本文の内容は誤り、(b)の本文の内容は正しいとなります。


(c)

本文にあります通り、温帯低気圧の発達において2つの異なる等圧面の鉛直方向の間隔(高度差)は東側の方が西側に比べて等圧面間の温度が高いため大きくなっています。


したがって、本文の内容は正しいとなります。


(d)

温暖前線は寒冷前線よりも傾きが緩やかですので、温暖前線面を暖気が滑昇する速度が遅く、そのため一般的に乱層雲などの層状性の雲が形成されやすく、弱い雨が持続して降る地雨性の降水となることが多いです。


したがって、本文の内容は正しいとなります。


よって、正解は(a)のみ誤りで③ということになります。


では。バイバイ

 

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