こんばんは。新月

 


早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第61回試験・専門知識

(a)
気象衛星画像では、同じ雲でも、可視画像と赤外画像とで写り方が異なることを利用して雲型の判別を行うことができます。ちなみに気象衛星画像から判別した雲の種類を「雲型」、地上から観測された雲の種類を「雲形」と使い分けられています。

 

気象衛星センター 2002:「気象衛星画像の解析と利用」p8 図1-3-1 可視画像と赤外画像による雲型判別の概念図 に加筆

 

そこでこの図も参考にしながら下線部を考えてみます。まず、雲域Aの雲型はほぼ全域にわたり、可視画像で明白色であり、赤外画像も輝度温度が低く明白色である雲が西南西から東北東にかけて団塊状の雲が連なっていることから、下線部の通り、発達した積乱雲を含む対流雲で構成された雲列となっていることがわかります。

 

したがって、下線部は正しいとなります。

 

(b)

次に雲域Bでは、下線部にありますように、北縁が寒気側(極側)に凸状に膨らむ(高気圧性曲率をもつ)「バルジ」が見られ、とあることから、温帯低気圧にみられる雲域であることがわかります。これは、対流圏下層で南から大量の暖湿な空気が流れ込みながら上昇していることを示しており、温帯低気圧が発達期であることを示唆するものです。

 

したがって、「最盛期」とする下線部の内容は誤りとなります。

 

(c)

次に雲域Cでは、赤外画像では明るく写っていることから輝度温度が低く、可視画像ではそれよりも暗く写っていることから薄い上層雲と判別されます。また、特に赤外画像で見るとわかりやすいですが、偏西風が赤道側へ大きく蛇行していることが読み取れます。つまり、雲域Cで見られる薄い上層雲は、対流圏上層における大気の流れに沿う形で筋状に延びていることから、この雲域はシーラスストリークと判断されます。

 

一方、「トランスバースライン」は上層風において密度が異なる空気が接しているために風速の鉛直シアーが強くなり、鉛直方向に「ケルビン・ヘルムホルツ波」という振動によって発生する波状雲のことで、上層風の流れに直交する雲列として見られます。

 

したがって、「トランスバースライン」とする下線部の内容は誤りとなります。

 

(d)

最後に雲域Dでは、赤外画像で暗く写っていることから輝度温度が高く、一方、可視画像ではそれより明るく写っていることから、霧または層雲と判断されます。図が問題文の冒頭で6月とあることからも想像されますが、この時期における北太平洋からオホーツク海にかけては、暖湿な空気が相対的に冷たい海域に移動し冷やされることによって、霧が発生することがあります。このようなメカニズムで発生する霧のことを「移流霧」とよんでいます。

 

したがって、下線部の内容は正しいとなります。

 

よって正解は、③ということになります。

 

では。バイバイ

 

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