こんばんは。星

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第61回試験・専門知識

:@:

まず初めに、「天気予報ガイダンス」について、簡単に概要を述べておきたいと思います。

天気予報ガイダンスの目的は大きく2つあり、一つは①「天気翻訳」、もう一つは②「誤差修正」です。

①天気翻訳
数値予報において数値予報モデルの各格子点の物理量が計算された結果、予測値すなわち数値予報プロダクトが出力されるわけですが、これは天気そのものを予測しているわけではなく、これと実際の天気との関係を見いだし、両者を結び付ける統計的関係式、つまり「翻訳のルール」作成しています。この統計的関係式を用いることによって、数値予報プロダクト(予測値)ができた段階で未来における気象要素の翻訳、すなわち天気予報が作成されることになります。

②誤差修正
数値予報モデルの特性による誤差には「地形表現の不完全さ」や「物理過程の不完全さ」といった傾向や大きさが一定の条件によって生じる規則的な誤差があり、こうした誤差のことを「系統的誤差」とよんでいます。天気予報ガイダンスではこの「系統的誤差」を修正することができます。

(a)

風ガイダンスはカルマンフィルター(KLM)の手法が採用されており、国内のアメダス観測地点および空港地点の地上風を予測するガイダンスです。数値予報において別々に予想された地上風の東西風速成分と地上風の南北風速成分を後から合成することによって作成されています。ガイダンスの風向の予想は、予想された東西成分と南北成分のベクトルの和として算出されます。すなわち、東西風速成分と南北風速成分の2つのデータから風向・風速の情報を得ているわけです。

 

一方、数値予報による風の予想はモデル地形と実際の地形の違いによる系統的な誤差が大きいことから、風速の系統的誤差が修正されれば、風向の系統的誤差も同程度に修正されます。

 

したがって、下線部の内容は正しいとなります。

 

(b)

視程ガイダンスも風ガイダンスと同様にカルマンフィルターの手法が採用されており、この方法により予測と実測のデータを基に、最適な予測となるように予測式の係数を逐次更新しています。したがって、数値予報モデルの予測特性が変わりますとガイダンスによる予測結果の予測特性も変わることになるわけですが、予測式の係数が逐次更新されることにより、次第に特性の変化に適合できるようになります。したがって、下線部の内容は正しいとなります。

(c)

前問の問5においてアンサンブル予報の概要のところで、『メンバーから初期値の誤差の拡大を把握したうえ、計算結果を統計的に処理し、最も起こりやすい気象状態を予測しています。このような手法で行う予報を「アンサンブル予報」とよんでいます。』と述べました。

 

本文では、メソアンサンブル予報の各メンバーから作成した気温ガイダンスと、単独のメソモデルから作成した気温ガイダンスが同じ手法で作成されているとありますので、各メンバーからアンサンブル平均を取って誤差が打ち消されることによって、単独のメソモデルから作成したガイダンスよりも予測精度が高まることになります。

 

したがって、「予測精度が低い。」とする下線部の内容は誤りということになります。

 

よって、正解は(c)のみ誤りで②ということになります。

 

では。バイバイ

 

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