こんばんは。
図にありますように、雲の中にある雲粒は凝結過程が進んできますと、大きさ(重さ)の違いから、雲粒どうしの落下速度も違いが生じてきます。このため雲粒どうしが衝突し、併合が起こりやすくなってきて短時間のうちに水滴が降水粒子となる大きさまでに成長します。この過程のことを「併合過程」とよんでいます。この併合過程により水滴の半径は時間とともに加速度的に成長していくことになります。
(a)
「大きな水滴の質量の単位時間あたりの増加量」とは半径Rの大水滴が落下速度Wで落下することによって、その真下を通過する空間内の数密度nで存在する質量mの小水滴が捕捉される総量と置き換えて考えることができます。
まず、大水滴について考えてみます。大水滴の真下の大水滴の断面積πR2の円筒状の空間内にある小水滴を捕捉するわけですから、大水滴の断面積、すなわちπR2に比例します。
次に、落下速度について考えてみます。大水滴の質量が増加しますと、落下速度Wが速くなりますので、それに伴って捕捉される小水滴の数が多くなります。問題文の冒頭に「小さな水滴の落下速度は0とする。」とあることから大水滴の落下速度Wに比例することになります。
次に小水滴について考えますと、捕捉される小水滴の質量が大きいほど捕捉される水滴の総計が多くなりますので小水滴の質量mにも比例します。
最後に大水滴の真下の空間の数密度について考えますと、その空間にある水滴の数が多いほど、つまり数密度が大きくなるほど捕捉される小水滴の数が多くなるわけですから小水滴の数密度にも比例します。
以上の比例する要素を合わせますと、πmnR2Wとなります。
(b)
今度は「質量の増加に伴い、大きな水滴の半径が表面全体(表面積4πR2)で一様に増加するとすれば、単位時間の半径の増加量は(b)に比例する。」とあります。
大きな水滴の半径は表面全体で一様に増加するわけですから、先ほどの(a)で求めた「大きな水滴の質量の単位時間あたりの増加量」から表面積の4πR2で割ることで単位時間の半径の増加量を求めることができます。すなわち、
πmnR2W÷4πR2=(mnW)/4={(ma)/4}×W
となり、選択肢からWに比例することがわかります。
(c)
最後に、「WがR1/2に比例するとすれば、水滴が大きくなるとともに単位時間の半径の増加量は(c)となる。」とあります。
まず、Rの1/2乗とは√R、すなわちRの平方根と同義で表される値です。そこで本文の「WがR1/2(√R)に比例する。」とは何かを考えてみます。
先ほどの(b)で、単位時間の半径の増加量はWに比例することがわかったのですが、このときの{(ma)/4}に当たる部分は比例定数にあたります。
これと同様に、比例定数をAと置きますと、
W=A×√R …①
で示すことができます。
ここで、(b)で得られた式に①の右辺を代入しますと、
(A×√R×m×n)/4 …②
となります。
つまり、②より、大水滴の半径Rが大きくなるほど√Rも、例えば√2≒1.414、√3≒1.732、√5≒2.236といったように値が大きくなりますので、それに伴って分子の値も大きくなり、結果、②全体の値が大きくなることがわかります。
したがって、水滴が大きくなるとともに単位時間の半径は大きくなるということになります。
よって正解は、④となります。
では。