こんばんは。

早速ですが、考えてみたいと思います・



第61回試験・専門知識



(a)

(気象庁HP:令和5年度 数値予報解説資料集 p45) より)

 

地球大気において、風向・風速、気圧、水蒸気量などといった物理量は流体をなしており、連続的な分布をしています。しかし、数値予報を行うにあたって、この状態ではコンピュータで取り扱うことが困難です。そこで地球大気をコンピュータでどのようにして表現するのかというところで、「地球大気中において数多くの値が連続的に分布している」と考えて、東西・南北・鉛直の3次元に数多く規則的に並んだ格子点を作り、それぞれの格子点が位置する付近の各物理量を入力し、格子点全体で地球大気を表現する、ということを行います。このようにして流体を有限個の数値の集まりに置き換えて3次元の大気を近似的に表現することを「離散化」とよんでいます。

 

上図では水平方向の離散化にの手法として「格子点法」と「スペクトル法」が示されています。全球モデルの場合、地球大気全体を対象としているため、「格子点法」では両極に近くなるほど格子点が集中して取り扱いが煩雑になってしまいます。そこで上図の右側にありますように、物理量の空間分布を様々な波数の波の重ね合わせとして近似し計算する方法として「スペクトル法」が採用されています。ちなみに全球モデルの別称であるGSMがGlobal Spectral Modelの略であることからもスペクトル法で計算されるモデルであることがわかります。

 

したがって、下線部の内容は正しいとなります。

 

(b)

(「気象庁の数値予報モデルが対象とする気象現象の水平及び時間スケール」気象庁HP:知識・解説>数値予報>気象に関する数値予報モデルの種類 より)

 

全球モデル(GSM)は、2023年3月より格子間隔が20kmから13kmに改良されましたが、この格子間隔13kmの空間分解能以下の小さなスケールの積雲や乱流のほか、放射、水の相変化などといった物理過程は直接表現することはできません。

 

かといって、これらの物理過程が大気に与える効果を無視してしまいますと大きなスケールの現象にも影響しますので適切な予報ができません。したがって何らかの形で考慮しなければならないことになります。

 

こうした物理過程の効果を組み込むため、パラメタリゼーションという手法を使って格子点の値に反映させています。

 

したがって、下線部の内容は正しいとなります。

 

(c)

メソモデル(MSM)は予報領域が日本周辺に限られています。

 

このメソモデルによる予測や、その初期値を作るための客観解析を行うためには、領域の境界における情報が必要となり、そのためメソモデルよりも広い全球モデルの予測値が用いられています。

 

そのため、本文にありますように、全球モデルが改良されて、その予測特性が変化しますと、メソモデルによる予測や客観解析における境界条件にも影響することがあり、メソモデルの予測特性も変化することにあります。

 

したがって、下線部の内容は誤りとなります。

 

よって、正解は、②ということになります。

 

では。バイバイ

 

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