こんばんは。キラキラ

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第61回試験・一般知識

 

(a)

まず、「地球が黒体放射していると仮定すると、地球から放出される長波放射エネルギーは放射平衡温度の(a)乗に比例する。」という一文を具体的に考えてみます。

 

ある物体に電磁波を照射したとします。物体がその電磁波を透過や反射をすることなく全てを吸収したとき、その物体のことを「黒体」とよんでいます。黒体は電磁波をよく吸収すると同時によく放射するという性質も持ち合わせており、電磁波をよく吸収する物体ほどよく電磁波を放射するという法則があります。この法則のことを「キルヒホッフの法則」とよんでいます。

 

次に、ある物体が黒体と見做せる場合に、この物体がどれだけの電磁波を放射するかは温度(絶対温度)によって決まり、温度が高いほど、黒体と見做せる物体の放射エネルギーは大きいことが言えます。具体的には、「黒体が放射する電磁波の放射強度( I : 1秒間で1㎡に入射するエネルギー)は、絶対温度の4乗に比例する。」という法則があり、この法則を「ステファン・ボルツマンの法則」とよんでいます。これを式で表しますと、

 

I = σT4

(σ:ステファン・ボルツマン定数 約5.67×10-8W/m2K4

 

となります。したがって、(a)を含む一文ははステファン・ボルツマンの法則のことを表わしていますので下線部の(a)は4ということになります。

 

(b)

地球のアルベドと放射平衡温度について「一般気象学」p128の図5.17を見ながら簡単に触れておきたいと思います。

地球に入射してきた太陽放射に一部は、雲、エーロゾル、大気によった反射され、また地表面に達した太陽放射の一部も地表面によって反射されて再び宇宙空間に戻っていることがわかります。このように地球に反射された放射量の入射してきた太陽放射量に対する比、すなわち太陽放射の反射率のことを「地球のアルベド」といい、概ね0.30として見積られます。

そして、地球に反射して宇宙空間に戻った放射量を差し引いた分、すなわち1-Aは地球に吸収されるわけですが、その一方で地球自身からも長波放射エネルギーを放出して熱を失っています。この両者がバランスを取って地球の温度が変化しない状態であることを放射平衡とよび、このときの温度を「放射平衡温度」とよんでいます。

 

したがって、地球が吸収する短波放射エネルギーは(b)1-A ということになります。

 

(c)

この時点で選ばれる選択肢は④または⑤のいずれかになりますが、本文を読みますと、地球のアルベド、つまりAが0.3から0.35に変化した場合、地球が吸収する短波放射エネルギー、つまり1-Aは、0.7から0.65に変化して減少することになります。

 

すなわち、地球が吸収する短波放射エネルギーが減少するわけですから、これに伴って地球から放射される長波放射エネルギーも減少して平衡(バランス)を取るわけですから放射平衡温度は低くなります。したがって、放射平衡温度がT1>T2であることが明らかになるわけです。

 

よって、T2=(c)×T1の式を見ますと、(c)にあてはまる値は、1よりも小さい値になりますので、(c)は分母が大きい方、(0.65/0.7)1/4が入り、④が正解となります。 

 

では。バイバイ

 

イベントバナー