こんばんは。夜の街

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第60回試験・実技試験2・問1

 

まず、気象衛星赤外画像の特徴について簡単に専門知識の復習をしておきましょう。

気象衛星赤外画像は、地表面や雲から放射された赤外線を捉えて、それを画像化したものです。

一般知識の「大気における放射」では、ある物体が黒体であれば、その放射量は物体の絶対温度によって決まる、という「ステファン・ボルツマンの法則」を学習しました。すなわち、黒体放射のエネルギー量をI、ステファン・ボルツマン定数をσ、物体の絶対温度をTとしますと、

I=σT4


となり、これを利用し、放射量を衛星に搭載されている赤外センサで捉え、測定することにより求めた温度を画像化するという仕組みです。このようにして求めた温度のことを「輝度温度」といいます。

実際の赤外画像では、輝度温度が低い(雲頂高度が高い)領域ほど明るく(白く)表示し、高い(雲頂高度が低い)領域ほど暗く(黒く)表されるのが特徴になります。

これを踏まえて図2を見てみましょう。台風の中心は、石垣島からわずかに北西の、北緯24.9°東経123.9°の位置にあります。実技試験でこのような問われ方をされた場合、この台風の中心に、その周辺で対照的な雲域の違い見られる、という主旨の解答が求められることが考えられます。

そのイメージで雲域に着目しますと、台風の中心付近の眼は不明瞭で、その南西側では、雲域は明灰色で雲の隙間があることから、雲頂高度はそれほど高くないと読み取れます。また、問1(1)では、付近の石垣島の実況において対流性の降水があったことがすでにわかっていますので、層状雲ではなく、雲頂高度が低い対流雲であることが考えられます。

一方、台風中心の北東側では、白くまとまった雲域になっており、雲頂高度の高い発達した対流雲であると考えられます。

したがって、解答では、台風中心を含む南西側と北東側で同じ対流雲の雲域でも雲頂高度に対照的な特徴が見られる、という主旨を50字程度で述べればよく、
 

台風の中心を含む南西側は雲頂高度が低い対流雲で隙間もあり、北東側は雲頂高度が高い発達した団塊状の対流雲がある。(55字)

 

(気象業務支援センター解答例)

台風中心と南西側は雲頂高度の低い対流雲、北東側は雲頂高度の高い発達した対流雲が多く分布している。(48字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ

 

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