こんばんは。星空

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第60回試験・一般知識



地球大気におけるある高度面の「気圧」とはその高度よりも上に存在する空気の重さを表しています。具体的に天気予報等で用いられている地上気圧とは、地上から大気上端までの単位底面積(1㎡)あたりの気柱内の空気の重さということになります。

問題では、高度2000m、もしくは高度10000m付近の厚さ1000mの平均温度が1℃変化するとき、その気温差が空気密度にどのように影響し、空気密度の違いによって生じる気層の気圧差が地上気圧にどう影響するのかを考え、最終的に地点A、B、C、Dのうち地上気圧が最も低い地点を選ぶ内容になっています。

まず、問題文より、静力学平衡、すなわち、ある気層における上下面の気圧差をΔp、空気密度をρ、gを重力加速度、ΔZを気層の厚さとしますと、

Δp = -ρgΔZ

が成立していることから、ある気層における上下面の気圧差Δpはこの式で表されます。

次に、地点A、B、C、Dの気柱にこの静力学平衡の式をあてはめますと、重力加速度gと気層の厚さΔZはすべて同じです。また空気密度ρは温度が高いほど小さくなり、温度が低いほど大きくなります。したがって、気柱内の空気の重さがAに比べて大きくなるDは除外され、Aに比べて小さくなるB、Cのいずれかに絞られます。

 

次に、BとCを比較します。Bでは気温が高い層が高度2000m付近に、Cでは高度10000m付近にあるわけですが、空気密度ρは、気圧p、空気の気体定数R、平均気温(絶対温度:K)Tとしますと、気体の状態方程式、

 

p = ρRT

 

より、

 

ρ = p / RT

 

絶対温度Kを273.15℃として、1000mの厚さを持つ層の平均気温が 1℃だけ上昇したとき、

 

ρ = p / R(273.15) から、

 

ρ = p / R(273.15+1)

 

と分母の値が増加することにより、空気密度が減少することがわかります。

 

この空気密度の減少量は、元の空気密度が小さい高度10000m付近の層における気圧pへの影響よりも元の空気密度が大きい高度2000m付近の層における気圧pへの影響の方が大きいため、気温変化が高度10000m付近の層で起きるよりも、高度2000m付近で起きる方が空気密度の減少量が大きくなります。したがって、地点Bが最も地上気圧が低くなり、正解は②ということになります。

 

では。バイバイ

 

(追記)

10月6日、(一財)気象業務支援センターHPのリリースにて、「令和5年度第1回(通算第 60 回)気象予報士試験 学科試験(一般知識)問3及び問8について」の中で一般知識・問3の問題の設定が適切でないとして、

 

一般知識の問3は、気柱の一部の空気を違う温度にしたとき、地上気圧の最も低い ものを選択する問題でした。 この問題については、高さの低い(密度の高い)層の気温が 1℃高い気柱 B を正解 として 9月6日に公表していました。しかし、気柱の一部に温度の違いを与えると、 その高度の下では気圧が変化し、同時に密度もその高度と地上までの間で変化するた め、地上気圧の違いは温度の違う高さから地上までの範囲の密度の変化を考慮する必要があります。このため、正解を得るためには高度な数学的計算が必要となり、限られた時間内に正解を得ることは難しい問題となっていました。実際に、この効果を考慮して計算すると、公表した解答例とは異なり、気柱 C の方が気柱 B よりも地上気圧が低くなります。

 

という内容で訂正があり、全ての解答を正解として処理されたようです。