こんばんは。三日月

 


早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第58回試験・専門知識



初めに、図の夏のモンスーン期(6月〜9月)の200hPa及び850hPaの流線関数の平年値の読み方から簡単に触れておきますと、各図の下の凡例に着目しますと、青色が濃くなるほど負の値で反時計回りの流れ、北半球では低気圧性循環(南半球では高気圧性循環)が強くなり、逆に赤色が濃くなるほど正の値で時計回りの流れ、北半球では高気圧制循環(南半球では低気圧性循環)が強くなることを示しています。

(a)
これを踏まえてチベット高原を中心とする領域(ア)に着目しますと、本文では、夏のモンスーン期であること、対流圏上層に大きな高気圧性循環が顕著であることからチベット高気圧の出現が読み取れます。チベット高気圧の成因は、標高の高いチベット高原において地表が強い日射で加熱されることにより気温が高くなることによるものです。したがって、下線部の内容は誤りということになります。

(b)
次に、インドを中心とする領域(イ)に着目してみます。対流圏下層の850hPaでは、ほぼ東風西風の領域となっていますが、対流圏上層の200hPaではほぼ西風東風の領域となって逆になっていることから、水平風の鉛直シアーが強いことが考えられます。したがって、下線部の内容は誤りということになります。

(c)
最後に、フィリピンを中心とする領域(ウ)に着目してみます。850hPaの図からフィリピン付近の西部太平洋では対流圏下層においてモンスーンの南西風と太平洋高気圧の南縁を吹く偏東風との収束域となり、また海面水温が高いことから水蒸気の供給量が多く対流雲が盛んに発生します。この領域で対流が活発になりますと、その凝結熱(潜熱放出)によって定常ロスビー波が生じ、北米にかけて伝搬するため平年より活発なときは、南西諸島を除いた日本付近では高温となりやすく暑い夏となりやすくなります。これをテレコネクションの種類の一つで「PJパターン(Pacific-Japan pattern)」とよんでいます。したがって、下線部の内容は正しいということになります。

よって、正解は(c)のみ正しく、④ということになります。

以上で、第58回試験の学科試験は終了となります。次回からは第58回試験・実技試験1の問題に入りますので引き続きよろしくお願いします。

では。バイバイ