こんばんは。
(a)
静止気象衛星ひまわりの赤外画像は、地表面や雲から放射された赤外線を捉えそれを画像化したものです。
一般知識の「大気における放射」では、ある物体が黒体であれば、その放射量は物体の絶対温度によって決まる、という「ステファン・ボルツマンの法則」を学習しました。すなわち、黒体放射のエネルギー量をI、ステファン・ボルツマン定数をσ、物体の絶対温度をTとしますと、
I=σT4
となり、これを利用し、放射量を衛星に搭載されている赤外センサで捉え、測定することにより求めた温度を画像化するという仕組みです。このようにして求めた温度のことを「輝度温度」といいます。
実際の赤外画像では、輝度温度が低い領域ほど明るく(白く)表示し、高い領域ほど暗く(黒く)表示します。
したがって、輝度温度が低い雲(=雲頂高度が高い雲)は白く表示されますので、本文の内容は正しいということになります。
(b)
低緯度や中緯度の薄い上層雲は、雲の隙間から、より下層からの雲や地表面からの赤外線が透過することによって衛星の赤外センサが薄い上層雲の実際の高度よりも低い高度にある雲であるかのように表示されることがあります。このような効果のことを、「サブピクセル効果」とよんでいます。
したがって、同じ高さにある厚い上層雲よりも暗く表示されますので、本文の内容は誤りということになります。
(c)
一般的に地表面は雲頂より温度が高く上空に雲がないときは暗く表示されますが、特に冬季のユーラシア大陸の内陸部においては地表面温度が非常に低い場合は赤外画像で明るく表示される場合があります。したがって、本文の内容は正しいということになります。
よって、正解は、(b)のみ誤りで②ということになります。
では。