こんばんは。星空

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第57回試験・実技試験2・問3(4)

今回は、28日21時における地上の前線の位置から館野までの距離を260kmとしたときこの前線面の勾配の大きさを分数値1/Fとしたときの分母の値Fと、地上の前線位置から館野までの転移層の厚さは一定と仮定した時の地上における前線帯の水平幅を求めよ、という内容の問題です。

 

まず、地上の前線の位置から館野までの距離を260kmとしたときこの前線面の勾配の大きさから求めてみます。問題文だけではわかりにくいので上に簡単な模式図を描いてみました。問題文では地上の前線位置から館野までの距離が260kmと与えられ、前問の問3(4)①の考察で転移層の上端の高さが2060mであることがわかっていますので、この2つの値で前線面の平均勾配を求めることができます。なお、単位を揃えるため260kmを260000mとして計算しますと、

 

2060/260000≒1/126

 

解答では分母の部分Fの数値を四捨五入により10の倍数で答えよ、との指示ですので、F=130ということになります。

 

次に、地上における前線帯の水平幅を求めてみます。試験本番で時間がわずかの中、「地上における前線帯の水平幅」とはどこのことなのか戸惑われた方が多かったのでは、と想像していますが、ここで、簡単に図を描いてみて考えることの大切さが出てきます。先ほど考えた前線面の平均勾配をベースに今度は、問題文中の「転移層の厚さは一定と仮定し」をヒントにして考えますと、転移層の上端から地上の前線を結ぶ前線面の勾配に平行して、転移層の下端から地上へ線を引きます。この地上に接した点から地上の前線までの距離が、問われている「地上における前線帯の水平幅(χ)」ということになります。

 

前問の問3(4)①の考察において、転移層の厚さを筆者の計算で1410mと算出しましたので、1410mとして考えてみます。前線面の平均勾配が先ほど1/130であることがわかりましたので、上図の高さ1410m、勾配1/130、底辺を「地上における前線帯の水平幅(χ)」と平行で距離が同じχ’の直角三角形で考えてみますと、1410mを130倍した値が、求める「地上における前線帯の水平幅」となります。したがって、

 

1410×130=183300(m)

 

これをkmに換算しますと、183.3kmとなります。解答では、10km刻みで解答せよ、との指示ですので1の位を四捨五入して、180kmということになります。なお、気象業務支援センター解答例では170kmも正解としています。

 

以上で、第57回気象予報士試験の問題はすべて終了となります。次回からは試験当日8月17日(日)に向けて重要な知識を要する問題を過去問題から採り上げて一緒に考えていきたいと思いますので引き続きよろしくお願いいたします。

 

では。バイバイ