こんばんは。星

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第57回試験・実技試験2・問2

 

今回は、解答用紙の図に予め27日9時に北海道の北から日本海北部にある前線の28日9時の予想位置が記入されており、これにならって27日9時に日本海中部にある低気圧に伴う前線の28日9時の予想位置を前線記号を付して記入せよ、という作図の問題を考えてます。

 

まず、問題となっている前線を伴っている日本海中部の低気圧の動きから見ていきます。初期時刻の図1では、この低気圧は30ノットの速さで東北東に進んでいます。すなわち、このペースで24時間進みますと、東北東に720海里の位置まで移動すると考えられます。緯度10°が600海里ですので緯度にして12°の距離になります。

 

図5(下)の12時間後の27日21時の予想では、低気圧は北海道の渡島半島付近に達する予想で概ね720海里の半分、360海里で移動していますので、大きく移動の速さや方向が変わることなく、24時間後は前述した考え方で当てはめますと、低気圧は千島近海に達すると考えられます。

 

 

しかし、ここで受験された方やすでに問題演習をされた方は、戸惑われた方が多かったのではないかと想像しているのですが図6(下)の24時間後の28日9時ではその位置に低気圧の中心位置を示すLマークが記されていません。

 

初期時刻における低気圧の中心気圧は1006hPa、12時間後では1004hPa、24時間後におけるその位置では1000〜1004hPaと次第に発達している予想で矛盾しないこと。また、図8(中)の28日9時の温度分布に着目しますと、千島近海に等温線が極側に凸状となった暖気の流入の先端部が見られることから、この付近から等温線の集中帯の最も暖気側に沿って850hPa面の前線が延びていることから、温暖前線、寒冷前線の起点は、この付近と考えられます。

 

次に、図8(中)より850hPa麺の前線を解析していきます。等温線の集中帯の最も暖気側に着目し、温暖前線は6℃の等温線、寒冷前線は起点からは6℃の等温線に沿って描かれ、関東北部で不連続となりそこから南西には9℃の等温線に沿って描かれます。

 

 

最後に850hPa面の前線を基に地上の前線を描いていきます。前線の鉛直構造を考慮し、温暖前線は概ね緯度3〜4°程度、寒冷前線は緯度1〜2°程度暖気側にずらして描きますが、明瞭な風向シアーが見られる場合はそれに合わせます。

 

今回の前線解析での注意点は先ほど関東北部の等温線の不連続について触れましたが、図6(下)では東海地方に、図1で朝鮮半島南部のキンクから発達して新たな低気圧が発生する予想であることから、この低気圧の中心でキンクが付くと考えられます。また、図1での停滞前線がきになるところですが、解答図の枠内においては24時間内で前線が移動していることから停滞前線は解析されないと考えられます。

 

(気象業務支援センター解答例)

 

以上を踏まえて解析したものが上図になります。気象業務支援センター解答例と多少の形状が異なることがありますが、以上の要点を押さえられて描画されていればOKと考えています。

 

(日々の天気図  2020.03.28 09時 日本気象学会「天気」Vol.57 No.5 p301 より)

 

ちなみに、実際の地上天気図では、中心気圧が1004hPaで小さい円形等圧線で囲って表現されています。

 

では。バイバイ