こんばんは。星空

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第57回試験・実技1・問2

今回は、図7と図10を用いて24時間後に予想される温暖前線と寒冷前線の位置を記号を付して解答図に記入せよ、という内容です。

 

まず、問題文に「問1で述べた地上低気圧に伴う前線のうち」と書かれているところが気になります。そこで図1の初期時刻の状況を振り返ってみますと、低気圧の中心からは西へすでに閉塞前線が延びており、閉塞点から温暖前線と寒冷前線がそれぞれ延びていることから、地上低気圧は初期時刻の段階で閉塞が始まっていることがわかります。そうなりますと、時間が経過して24時間後の状況を考えた場合には、さらに地上低気圧の閉塞が進み、閉塞前線がさらに延びて中心から離れた位置に閉塞点があって、そこから温暖前線と寒冷前線が延びていることが考えられます。

 

つまり、問題文に「問1で述べた地上低気圧に伴う前線のうち」という文言が書かれていることは、解答図への記入が求められているのは温暖前線と寒冷前線の2種類であり、閉塞前線の記入は求められていないことに注意する必要があります。

 

 

次に図10(下)を用いて閉塞点および850hPa面の温暖前線、寒冷前線を解析してみることにします。閉塞点は850hPa面における等温線分布からの場合、基本的に等温線の集中帯が2つに分かれるところに対応させるのが基本ですが、今回は寒冷前線の集中帯が不明瞭で、そのアプローチからは困難です。閉塞点ではここに新たな低気圧が発生する場合がありますので、そのアプローチから700hPaにおける上昇流域の大きい領域の極値、-71hPa/hのところを閉塞点とするのが適切と考えられます。

 

温暖前線の解析につきましては基本通りで、等温線の集中帯の南縁に沿って描かれます。寒冷前線の場合は等温線の集中帯が不明瞭ですので、ここで着目すべき点は700hPaの鉛直p速度において寒冷前線付近で上昇流域、寒冷前線の後面で下降流域になっている境目、また図10(上)の700hPa湿数において、寒冷前線付近で湿潤域、寒冷前線の後面で乾燥域になっているところの境目も参考にしながら解析します。

 

次に、解析した850hPa面の閉塞点、温暖前線、寒冷前線から今度は地上の温暖前線と寒冷前線を解析してみます。温暖前線面、寒冷前線面とも、極側に向かって傾いている構造になっていることに留意して850hPa面の前線よりも必ず暖気側にズラすように描きます。温暖前線では緯度2°程度、寒冷前線では緯度1°程度を目安にズラし、風向シアも確認しながら描き、あとは問題の指示通り、解答図の枠まで前線を描き、温暖前線、寒冷前線にそれぞれ記号を付して完成させます。

 

(気象業務支援センター解答例)

今回は、少し難しい前線解析でしたが、等温線や等相当温位線の暖気側の縁、風向シア以外の着目すべき要素の知識が求められた問題だったと思います。納得できるまで練習してみましょう。

 

では。バイバイ