こんばんは。星空

 



早速ですが、考えてみたいと思います。

 



第56回試験・実技試験1・問4(3)



今回は、空気塊の上昇をもたらす要因の一つと考えられる地上から900hPaにかけての風の水平分布が明瞭に表れているのは地点aと地点bのどちらか、という内容の問題です。

降水をもたらす雲が発生するには多くの水蒸気を含んだ空気塊の上昇が伴うのですが、今回の問題のように、大雨をもたらす積乱雲が発達するとなりますと、その空気塊の上昇をより強化させる要素が加わってくる場合が多くなります。

その空気塊の上昇を強化する要素としては、大きく、山岳などの地形による強制上昇や、風の収束が挙げられ、いずれも実技試験でよく問われます。今回の問題では地形による影響は絡んでいませんので、空気塊の上昇をもたらす要因の一つとして問われているのは与えられている資料が図11からも「風の収束」であることがわかります。

なお、問題文の最後のただし書きにおいて、「東経128.5°〜130.5°の各緯度における風の分布は図11に示された東経128.5°の同緯度の風はほぼ同じものとする。」とあるのは、風の収束は図11の東経128.5°で切った断面で示された南北方向についてのみ考えることとし、同緯度の東西方向は考えなくてよい、ということを意味しています。
 

まず、北緯27°に位置する地点bから見てみますと、地上から900hPaにかけて45ノット程度の南西風であり、その南北方向の北緯26°および北緯28°においては、北緯28°の920hPa、900hPa付近で50ノットと風速が大きいところが見られるものの、概ね南北方向において風向・風速の差が小さく、目立って風の収束が認められないことがわかります。

 

一方の北緯31°に位置する地点aを見てみますと、地上から900hPaにかけては、地点bに比べて50~55ノットと風速が大きく、またその南北方向においては、北緯30°では風向・風速ともほぼ同じですが、北緯32°においては風速が40ノット程度で相対的に弱く、風向が南の風であることから風向シアーもあり、この間に風の収束が存在していると考えられます。なお、気象業務支援センター解答例では風速についてのみに触れていますが、同時に風向シアーについて触れても間違いはないと考えています。したがって、30字程度でまとめますと、

 

地点:a

風の特徴:地点aの方が北緯32°の風速より大きく、風向シアーもあり収束している。(35字)

 

(気象業務支援センター解答例)

地点:a

風の特徴:地点aの風のほうが北緯32°の風より強く、収束がみられる。(29字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ