こんばんは。星空

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第56回試験・専門知識

(a)

まず初めに、「北極振動(AO: Arctic Oscillation)」とは、北緯60°を境にしてその南北の領域において、高気圧と低気圧とで逆の関係になる現象のことをいいます。図Aですと、北緯60°以北の北極域で高気圧が見られる場合、逆に北緯60°以南の中緯度域で低気圧が見られるという関係となり、この場合を「負の北極振動(AOマイナス)」、またこの逆で北緯60°以北の北極域で低気圧が見られる場合、逆に北緯60°以南の中緯度域で高気圧が見られるという関係となり、この場合を「正の北極振動(AOプラス)」とよんでいます。

 

図Aのような「負の北極振動」のときは通常よりも寒帯前線ジェット気流が弱く、北極域と中緯度域との気圧差が平年よりも小さくなり、そのため北極域からの寒気が中緯度域へ南下しやすくなって日本を含めた中緯度域で寒冬になる傾向になります。また、その逆の「正の北極振動」のときは通常よりも寒帯前線ジェット気流が強く、北極域と中緯度域との気圧差が平年よりも大きくなり、そのため北極域の寒気の南下をほぼブロックする形になり、日本を含む中緯度帯では暖冬になりやすい傾向となります。

 

したがって、下線部の内容は正しいということになります。

 

(b)

次に、図Bに着目しますと、本文にあります通り、寒帯前線ジ ェット気流がヨーロッパで南に蛇行して負偏差、西シベリアで北に蛇行して正偏差、日本付近で南に蛇行して負偏差とする偏差パターンをとる大気の流れを「正のユーラシア(EU)パターン」とよび、その逆は「負のユーラシア(EU)パターン」とよんでいます。

 

この正のユーラシアパターンが卓越するときは、日本付近は低温になりやすい傾向となります。また、もし「ユーラシアパターン」を知らない場合でも、日本付近に着目しますと、日本付近から日本の東海上にかけては負偏差の領域であり、気圧の谷が日本の東側にあることから「東谷」であるため、日本付近では北西からの寒気が流れやすい傾向にあることがわかりますので、やはりこの視点からも日本付近は低温になりやすいことが言えます。

 

したがって、下線部の内容は誤りということになります。

 

(c)

最後に図Cに着目しますと、日本付近はこれまでのA、Bの考察とは異なり正偏差の領域にあることがわかります。本文にありますように、1月で日本付近において亜熱帯ジェット気流が平年より北側に偏って流れている状況が卓越しているときは寒気の流れ込みが弱く、一般的な冬型の気圧配置になりにくいため雪を含む降水量が日本海側で少なくなりやすいことが考えられます。

 

したがって、下線部の内容は誤りということになります。

 

よって、正解は(a)のみ正しく③ということになります。

 

以上で、第56回試験の学科の問題は終了となります。次回からは第56回試験・実技試験1の問題を一緒に考えていきたいと思いますので引き続きよろしくお願いします。

 

では。バイバイ