こんばんは。夜の街

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第56回試験・専門知識

(a)

本文にあります通り、梅雨前線を維持している水蒸気輸送には、一方では、インド洋からチベット高原の南側を流れる湿った南西風(インドモンスーン)が梅雨前線に流れ込んでおり、もう一方では、太平洋高気圧の縁辺の沿って湿った南風が梅雨前線に流れ込んでいます。これら2つの湿った空気の流れによって大量の水蒸気が輸送されることにより梅雨前線が維持されています。したがって、本文の内容は正しいということになります。

 

(b)

梅雨前線上には、数百km~2000km程度の水平間隔で並んで低気圧が発生することがあります。これは、一般的に数千kmの水平間隔で発生する温帯低気圧に比べて間隔が短いのが特徴です。また、この低気圧の背は低く、700hPa面では天気図上で認められることはあるものの、高度が500hPa面以上になってきますと、天気図上で低気圧や低気圧性循環が不明瞭になっていくのも特徴に挙げられます。したがって、「上層ほど強い」とする本文の内容は誤りということになります。

 

(c)

オホーツク海高気圧は、梅雨期を含む暖候期にオホーツク海付近に形成される停滞性の高気圧で、出現時には北日本から、東日本の太平洋側を中心に、低温や日照不足をもたらすことが多いです。北日本から東日本の太平洋側ではこのオホーツク海高気圧により、海上から冷たく湿った空気が流れ込んで気温が低く、曇りや雨となり、また霧が発生することもあります。この気流のことを「北東気流」とよび、「やませ」とよぶこともあります。またオホーツク海高気圧に伴う寒気層は下層に限られており、北東気流に伴って発生する雲は層雲が主で奥羽山脈などの脊梁山脈を越えられないため、このような現象は北日本から東日本の太平洋側に限られるのが特徴です。したがって、「上層までに達している」とする本文の内容は誤りということになります。

 

(d)

一般的に、西日本以西の梅雨前線では、南北間の温度傾度は小さいですが、水蒸気量の傾度が非常に大きいのが特徴で、東日本以東の梅雨前線に比べて降水量が多い傾向にあります。なお、この知識は、実技試験でも何度か問われたことがあります。水蒸気量の傾度は相当温位の傾度や混合比の傾度に置き換えられて問われたのですが、例えば、第31回試験・実技試験2の問2(8)では相当温位の傾度で問われています。したがって、「温度傾度が大きい」とする本文の内容は誤りということになります。

 

よって、正解は、(a)のみ正しく①ということになります。

 

では。バイバイ