こんばんは。流れ星

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第19回試験・一般知識

(受験時代のノートより)

 

今回は、大気の熱力学に出てくる諸量について、問題を通して整理してみたいと思います。

 

(a) 露点温度

【第54回直前】 大気の熱力学 第12回試験・一般・問2 (考察編) より)

 

まず、「気圧を変えずに」湿潤空気を冷却する場合を考えます。飽和水蒸気圧は、横軸に温度、縦軸に水蒸気圧を取ってグラフを描きますと、温度が高くなるにつれて値が指数関数的に増加するように描かれます。つまり温度が高くなるほど空気塊に含みうる最大の水蒸気量が指数関数的に増加することを表わしています。例えば、上図で考えてみますと、ある湿潤空気塊を棒グラフで示し、はじめ温度がTaの位置で水色で塗られた分だけ含まれているとします。これをTbの位置まで冷却しますと、空気塊の水蒸気は飽和水蒸気圧のグラフの最大のところまでしか含むことができず、すなわち飽和の状態で、なおかつその上の赤で示したはみ出した部分は水蒸気が凝結する分ということになります。

 

このように、Taのときの空気塊は「未飽和」の状態にあり、Tbでは「飽和」の状態にあるわけですが、この空気塊が「飽和」するときの温度のことを「露点温度」とよんでいます。

 

今度は空気塊を上昇させることを考えます。空気塊を上昇させるとき、気圧は高度とともに下降していきますので、気圧が変わりますと凝結のあり・なしに関わらず露点温度の値は変わってしまいます。この変化はエマグラム上で「等飽和混合比線」の傾きで表現されます。したがって、「×」となります。

 

(b) 混合比

混合比はある空気塊の中に含まれている水蒸気と乾燥空気の質量比、すなわち、

 

混合比(g/kg) = 水蒸気の質量(g) / 乾燥空気の質量(kg)

 

で表されます。ちなみに、水蒸気の質量(g) / 空気塊全体の質量(kg) は「比湿」といいます。

 

空気塊の上昇を考えますと、空気塊の中の水蒸気が露点温度に達しない限りは保存されますが、上昇させるにつれて露点温度に達しますと水蒸気の凝結が始まり、空気塊から出ていくことになりますので水蒸気量が減少し保存されなくなります。したがって、「×」となります。

 

(c) 温位

温位は未飽和の空気塊を断熱的に1000hPaまで上昇または下降させたときに示す温度のことをいいます。エマグラムで未飽和の空気塊を断熱変化させることを考えますと、未飽和の空気塊は乾燥断熱減率に沿って変化します。ある高度にある空気塊を1000hPaのところまで乾燥断熱線に沿って移動させたとき、その1000hPaの位置において示す温度がその空気塊の「温位」ということになります。

 

このように未飽和の空気塊を断熱的に上昇させる場合、空気塊が飽和して水蒸気の凝結が起こらない限りは保存されますが、凝結する場合は(d)で後述しますが保存されません。したがって、「×」となります。

 

(d) 相当温位

相当温位はある空気塊の温位に、その空気塊に含まれている水蒸気がすべて凝結した場合に出る潜熱(凝結熱)も考慮して足しあわされた温位のことをいいます。

 

温位ですと先ほど触れました通り、未飽和の空気塊が断熱的に変化する分には保存されますが、飽和して空気塊の中の水蒸気が凝結したときの潜熱は考慮されていないので「凝結あり」ですと変化することになりますが、相当温位はそれが初めから考慮されていますので、「凝結なし」でも「凝結あり」でも保存される物理量として扱うことができます。したがって「○」となります。

mよって、正解は(d)のみ○で①ということになります。

 

では。バイバイ