こんばんは。新月

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

第55回試験・実技試験2・問4

今回は、内之浦とその周辺の大雨により発生するおそれがある災害名を3つ、またそれぞれの災害に対応する警報・注意報を発表する際の発表基準として使用する指数を解答せよ、という問題です。

 

まず初めに、大雨により発生するおそれがある災害名の3つについて考えてみます。大雨により発生するおそれがある災害は、山地ですと「山崩れ」、「崖崩れ」、「土石流」といった「土砂災害」が考えられます。また平地ですと「低い土地への浸水や冠水」、「内水氾濫」といった「浸水害」があります。この「内水氾濫」とは、市街地に排水能力を超える多量の雨が降りますと、その排水が雨量に追い付かなくなり、建物や土地に浸水する現象のことをいいます。そして3つ目に、河川の上流域での大雨によって下流で生じる増水や氾濫で生じる「洪水害」があります。したがって、災害名は順不同で、土砂災害浸水害洪水害の3つとなります。

 

次に、これら3つのそれぞれの災害に対応する警報・注意報について考えてみます。まず、土砂災害と浸水害に対する注意報・警報ですが、大雨による土砂災害や浸水害が発生するおそれがあると予想したときに発表されるのが「大雨注意報」、大雨による重大な土砂災害や浸水害が発生するおそれがあると予想したときに発表されるのが「大雨警報」で、大雨警報の場合、特に警戒すべき事項を標題に明示して、「大雨警報(土砂災害)」、「大雨警報(浸水害)」またはその両方の、「大雨警報(土砂災害、浸水害)」のように発表されます。あと洪水害に対する注意報・警報ですが、河川の上流域での大雨や融雪によって下流で生じる増水により洪水災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されるのが「洪水注意報」、河川の上流域での大雨や融雪によって下流で生じる増水や氾濫により重大な洪水災害が発生するおそれがあると予想したときに発表されるのが「洪水警報」となります。

 

今度は、大雨注意報・大雨警報、洪水注意報・洪水警報の発表基準となる指数は何かを考えてみることにします。

 

(気象庁HP:「土壌雨量指数」より)

 

まず、大雨注意報・大雨警報(土砂災害)の発表基準となる指数は「土壌雨量指数」となります。土壌雨量指数とは、降った雨による土砂災害危険度の高まりを把握するための指標で、大雨に伴って発生する土砂災害(山崩れ・崖崩れ・土石流)には、現在降っている雨だけでなく、これまでに降った雨による土壌中の水分量が深く関係しており、土壌雨量指数は、降った雨が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているかを、タンクモデルを用いて数値化したものです。

 

(気象庁HP:「表面雨量指数」より)

 

次に、大雨注意報・大雨警報(浸水害)の発表基準となる指数は「表面雨量指数」となります。

 

表面雨量指数とは、「地表面」には地中に浸み込みやすい山地や水はけのよい傾斜地などもあれば、アスファルトやコンクリートといった被覆に覆われているところもあります。雨が降りますと、地中に浸み込みやすい場所の地表面であれば雨水が溜まりにくく地中への浸透が多くなりますが、アスファルトやコンクリート、平坦で水はけの悪い場所の地表面では地中への浸透が少なくなります。そこで降った雨が地表面を流出したり、土壌のより深いところに浸透したりする過程を表現するためにタンクモデルを用いて数値化することによって大雨による浸水危険度の高まりを把握するための指標で、2017年から導入されています。

 

(気象庁HP:「流域雨量指数」より)

 

最後に、洪水注意報・洪水警報の発表基準となる指数は「流域雨量指数」となります。

 

流域雨量指数とは、河川の上流域に降った雨により、どれだけ下流の対象地点の洪水危険度が高まるかを把握するための指標です。流域雨量指数は、全国の約20,000河川を対象に、河川流域を1km四方の格子(メッシュ)に分けて、降った雨水が、地表面や地中を通って時間をかけて河川に流れ出し、さらに河川に沿って流れ下る量を、タンクモデルや運動方程式を用いて数値化したものです。

 

(気象庁HP: 警報・注意報発表基準一覧表 大阪市 より)

 

さらに、洪水注意報・洪水警報につきましては、対象区域の上流域で降った雨と対象区域内で降った雨により、対象区域内の河川で増水や氾濫が発生する場合もありますので流域雨量指数と表面雨量指数の両方を組み合わせて用いられることがあります。上の一覧表は大阪市の例ですが、青のマーカーで示しています通り、この2つの指数の組み合わせで表す基準を「複合基準」とよんでいます。したがって洪水注意報・洪水警報に対応する指数は「流域雨量指数」、「表面雨量指数」の2つになります。よって正解は、

 

ということになります。

 

以上で第55回気象予報士試験の問題はすべて終了となります。次回から第56回気象予報士試験が行われます8月22日の直前までは、学科試験を中心に序盤・中盤は重要な知識のおさらい、終盤は得点源の法規の問題を予定しています。

 

では。バイバイ