こんばんは。流れ星

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第55回試験・実技試験2・問2

今回の問題は、初期時刻(29日21時)に黄海にある地上低気圧とその500hPaにおける低気圧の中心を結ぶ軸が、その後24時間後にかけて、対応関係と地上低気圧の盛衰がどう変化していくかについて述べた(a)~(c)の文のうち正しいのはどれか、ということで見ていきます。

 

まず、(a)は、「低気圧の中心を結んだ軸は最初傾いていたが、鉛直方向に変化し、地上低気圧は衰弱する。」とありますが、図1の地上低気圧の中心と図2(上)の低気圧の中心を見比べたときに、低気圧の中心を結ぶ軸はほぼ鉛直方向であることから、この内容は誤りであることがわかります。

 

次に、(b)を後回しにして(c)を読みますと、「低気圧の中心を結んだ軸は傾きを増し、地上低気圧は発達する。」とありますが本当にそうなのかというところです。問1(1)⑩⑪で考察しましたように、この低気圧は寒冷低気圧です。では発達している状態の寒冷低気圧の構造にどんな特徴があるのかを思い出しますと、上層ほど等圧面高度の差が大きく低気圧が明瞭に見られるのに対して、下層ほど等圧面高度の差が小さくなり、地上天気図で見た場合、小さく閉じた等圧線をもつ低気圧があるか、あるいは低気圧として現れない、という特徴がみられます。

 

本題に戻って図5の12時間後と図6の24時間後を見ますと、、地上の予想図では初期時刻に比べ、閉じた等圧線の領域が広がっており、また24時間後の図6(上)では低気圧の中心を含む等高度線の閉じた領域が12時間後から急激に小さくなっていることから、寒冷低気圧は次第に弱まる予想になると考えられます。また低気圧の中心を結んだ軸は一見しますと12時間後も24時間後も傾いているように見てしまいますが、寒冷低気圧が弱まることを考慮し、ともに500hPaの中心が地上の低圧部の範囲にあることから、低気圧の中心を結ぶ軸は鉛直方向を維持していると考えられます。ここが結構厄介だったかもしれません。したがって(c)の内容は誤りになります。

 

最後に(b)を読みますと、「低気圧の中心を結んだ軸は鉛直方向のままで、500hPaの低気圧に対する地上低気圧は弱くなり、12時間後からは低気圧としては予想されなくなる。」とあり、先ほどの考察により、これが正解となります。したがって、正解は(b)ということになります。

 

では。バイバイ