こんばんは。夜の街

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第55回試験・実技試験2・問1

今回の問題は、図1の地上天気図と図4の名瀬における状態曲線(エマグラム)を用いて、名瀬で観測された雲のうち、中・上層雲の雲底の高度と下層雲の雲頂の高度をエマグラムから読み取って推定するという内容です。

 

(気象庁HP: 国際式の天気記号と記入方式 より)

 

まず、名瀬ではどんな雲が観測されたのかを読み取ります。中・上層雲は全雲量の上にある記号は上の凡例にはありませんが、正確には「不透明の高積雲または全天に広がる傾向のない2層以上の半透明な高積雲、または高層雲か乱層雲を伴う半透明の高積雲」となります。しかし長くてなかなか覚えられませんので、ここでは高層雲か乱層雲が混在する高積雲が観測されているんだな、という程度で十分だと思います。また、下層雲は上の凡例にあります通り、雄大積雲が観測されています。

 

観測されている雲がわかったところで次に、中・上層雲の雲底の高度をエマグラムから推定してみます。エマグラムでは、気温と露点温度の差、すなわち湿数がわかりやすく描かれています。両者の線が接近していれば湿数が小さく空気が湿潤であり、大きく離れていれば湿数が大きく空気が乾燥していることを表わしています。概ね湿数が3℃以下を目安としてその気層では雲が発生していると推定でき、その最下層が雲底高度、最上層が雲頂高度と見積もることができます。高度が440hPa~420hPa付近では気温がほぼ同じ気層があり等温層になっていますが、同時に露点温度が接近してきており、最も上の420hPaで湿数が約2℃となってそれより上の気層は湿数の小さい状態が続いていることから、420hPaが高積雲の雲底高度と推定されます。したがって、中・上層雲の雲底の高度は20hPa刻みで、420hPaとなります。

 

今度は、下層雲の雲頂高度を推定してみます。先ほどと同じように考えますと、760hPaなのか、700hPaなのか迷う感じですが、問題文の最後の方を読みますと、「名瀬の視界内の900hPaより低い高度の空気塊が上昇したことで発生し、そのときの大気の状態は図4で示される通りであったとする。」とあるのが引っ掛かります。つまり名瀬の地上付近では空気塊がほぼ飽和している状態になっていますので、この空気塊を持ち上げていき、その空気塊が気温と同じになり、これより上層で気温より下回るところが、対流が抑制されるところ、すなわち雲頂高度であると推定できることを意味しています。

 

 

実際に地上付近から空気塊を湿潤断熱線に沿って持ち上げてみますと(青の破線)、気温と同じになり、それより上層で気温より下回るところは760hPaではなく700hPaであることがわかります。したがって、下層雲の雲頂高度は20hPa刻みで700hPaとなります。

 

では。バイバイ