こんばんは。新月

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第55回試験・実技1・問2(4)

(気象業務支援センター解答例)

今回の問題文を一気に読んでしまいますと論点がわかりにくいですので、3つに分けて考えてみます。

 

(a) 8日21時に時点で、局地解析によると関東地方には①で描いたようなシアーラインが解析され、

(b) 総観スケールでは(2)で描いた850hPaの前線に対応する地上の温暖前線が本州を通過している。

(c) ②のシアーラインの特徴を踏まえて、このシアーラインと地上の温暖前線の関係を50字程度で述べよ。

 

(a) まず①の局地解析の結果は、解答例にあるシアーラインが描かれましたのでこれを念頭に置きます。

 

(b) 次に、総観スケールにおきましては、(2)の設問において、850hPa面の温暖前線は東北地方を横断する形で描かれました。しかし、この温暖前線は図6の予想図を基に描いてます。では、実際に温暖前線はどこを通過してどこが通過していないのか、を見たのが(3)の時系列図を使った問いで結果、潮岬や勝浦や水戸では通過していますが、御前崎や石廊崎や東京は21時時点でも通過していないことがわかりました。

 

問題文では「地上の温暖前線が本州を通過している。」と明記されていますが、シアーラインと時系列図と見比べてみて矛盾するところからこのシアーラインが地上の温暖前線ではないかということが見えてきます。つまり温暖前線の位置は予想された位置ではないものの、現在進行形で温暖前線が本州を通過している、という意味では予想と一致していると解釈されます。

 

(c) そうしますと、地上の温暖前線は8日9時で予想していた位置よりも北上が実際には遅いことになるわけですが、それはなぜか。ここで ②のシアーラインの特徴と、その要因となる図12で示される地形が大きく関係してきます。

 

時期が3月初旬で、シアーラインの北東側において、風が弱い低温域であり、さらに地形も考慮しますと、地上付近の寒気が関東平野の周囲にある山地の影響で滞留していると考えられ、一方シアーラインの南東側においては、南東風が卓越する暖域内にあることから、このシアーラインが温暖前線であるとみなすことができ、温暖前線は滞留する地上付近の寒気によって北上が阻まれていると考えられます。したがって、

 

シアーラインは地上の温暖前線であり、地形の影響で滞留する地上付近の寒気によって北上が阻まれている。(49字)

 

(気象業務支援センター解答例)

関東地方に見られるシアーラインは、地上付近の寒気層によって北上が妨げられている温暖前線である。(47字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ