こんばんは。お月様

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第55回試験・一般知識

 

日常の生活において空気の湿り気を表わす「湿度」という言葉はよく使われていますが、気象学で使われている「相対湿度」とは一般的にこの「湿度」のことを指しています。具体的には、ある空気塊がもつ水蒸気圧の飽和水蒸気圧に対する比で表されます。すなわち、

 

相対湿度=ある空気塊のもつ水蒸気圧 / その気温における飽和水蒸気圧 × 100 (%)

 

となります。

 

では次に、「水蒸気圧」や「飽和水蒸気圧」という言葉が出てきましたが、これらは一体何かということになるわけですが、「水蒸気圧」から考えてみることにします。先日の一般知識・問1(a)では、空気全体を構成する気体の存在比について考えましたが、その中のある特定の気体を抜き出した場合、その特定の気体の圧力のことを「分圧」とよんでいます。空気全体の中には水蒸気が含まれており、日々の気象の変化に影響しているわけですが、空気全体の中でその水蒸気について抜き出したとき、その水蒸気についての圧力、すなわち「水蒸気の分圧」のことを「水蒸気圧」とよんでいます。

 

今度は「飽和水蒸気圧」とは何か、ということですが、ここからは「一般気象学」p59を見ながら考えてみます。ここから何がわかるかといいますと、空気全体の中に存在することのできる水蒸気圧(水蒸気量)には温度によって上限があるということです。これは、たとえ空気中における他の気体の存在比が異なろうとも、温度のみで決定されます。今回の問題はこれが論点ではありませんが、よく出題されます。このように、水蒸気がある温度の上限まで存在している状態のことを「飽和」とよんでいて、そのときの水蒸気圧のことを「飽和水蒸気圧」とよんでいます。

 

以上を踏まえて、本題を考えてみます。「標高0m(気圧1000hPa)の地点において気温が25℃、相対湿度50%の空気塊」とありますので、このときの空気塊に含まれている水蒸気圧がわかります。下の表から25℃のときの飽和水蒸気圧は31.7hPaですので、すなわち、

 

31.7×0.5=15.85(hPa)

 

となります。次にこの空気塊を断熱的に標高1000mまで持ち上げることによって、900hPaまで気圧を下降させる、という操作を行います。実は初めに水蒸気圧とは何かについて考えてみたのは、これが問題を解く要点となるところだからです。空気塊全体が1000hPaの0.9倍の900hPaまで下降させるわけですから、その空気塊を構成している水蒸気の分圧、すなわち水蒸気圧も15.85hPaの0.9倍下降するはずです。すなわち、標高1000mまで持ち上げたときの空気塊の水蒸気圧は、

 

15.85×0.9=14.265(hPa)

 

となります。

 

一方、空気塊を持ち上げる際に途中で凝結したことについて問題では触れられていませんので、凝結することは考えなくてよい、と解釈できます。したがって空気塊の温度は乾燥断熱減率の10℃/kmで下降して標高1000mでは15℃になります。このとき15℃における飽和水蒸気圧は下の表から17.0hPaであることがわかりますので、相対湿度を求める要素が揃いました。よって、

 

14.285/17.0≒0.84

0.84×100=84(%)

 

正解は③ということになります。

 

では。バイバイ