こんばんは。キラキラ

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第54回試験・専門知識

(a)

気象レーダーは、上空の降水を捉えてそれを降水強度に変換して、広範囲を面的に連続して観測ができるという特徴があります。しかし、気象レーダーによる降水の観測は、アメダスなどに設置されている雨量計に比べると、観測の精度が高くないのもそうなんですが、地形(グランドクラッター)や海上の波(シークラッター)による反射をも降水として認識してしまうという欠点もあります。

 

(大阪・高安山気象レーダー観測所  2018.03.22 「大阪・高安山の気象レーダーへゆく」より)

 

一方のアメダスなどに設置されている雨量計は地上で正確な降水量を計測できるという特長があるのですが、全国に約1300か所あるアメダスの雨量計でも平均すると約17km間隔であることから、観測網が粗く、積乱雲の発達によりもたらされる局地的な降水を十分に捉えられないこともあります。

 

(雨量計・名張地域雨量観測所(アメダス) 2019.03.12 「アメダスへゆく57 名張」より)

 

そこで、面的に降水量を推定できる気象レーダーと、地上で正確な降水量を観測できる雨量計のそれぞれの特長を活かし、気象レーダーで観測した1時間積算降水強度をアメダスなどの雨量計の観測データで補正した1km四方ごとのかつ1時間雨量の降水観測データを「解析雨量」とよんでいます。

 

したがって、下線部の内容は正しいということになります。

 

(b)

海上における解析雨量につきましては、海上に雨量計がありませんので、陸上において気象レーダーによる降水強度と雨量計による降水量の比で求める「レーダー雨量係数」を用いて気象レーダーの観測データを補正しているため、陸上よりも一般に誤差が大きくなります。

 

したがって、下線部の内容は正しいということになります。

 

(c)

求められた解析雨量のデータは、土壌雨量指数では、実況のタンクモデルへの入力データとして用いられ、また表面雨量指数におきましても入力データには解析雨量が用いられています。

 

したがって、下線部の内容は誤りということになります。

 

(d)

気象庁が提供する解析雨量には、従来の30分ごとに1時間雨量を算出する「正規版」の解析雨量に加えて、10分ごとに1時間雨量を算出する「速報版解析雨量」の提供が2017年から開始されています。

 

速報版解析雨量は算出の所要時間を短縮するため、降水量の算出に利用できる雨量計の数が制限されますが、若干精度が低くなるものの、更新頻度が高く、観測から時間的に10分ごとという短いスパンで提供されるという特長があります。

 

したがって、下線部の内容は正しいということになります。

 

よって正解は、(c)のみ誤りで、②ということになります。

 

では。バイバイ