こんばんは。夜の街

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第53回試験・実技2・問3(1)

今回の設問は、図7(下)で予想されている関東の東海上の低気圧について、図1に表示されている佐渡付近の低気圧の移動方向と移動速度では12時間後ではこの位置に達しないことから、この18日21時に関東の東海上に予想される予兆が図1に現れているということで、その気圧分布の特徴を、着目する等圧線の値と低気圧の発生状況に言及して60字程度で述べよ、というものです。

 

まず、図1の佐渡付近の低気圧の移動方向と移動速度について振り返ってみますと、問1(1)で考察しました通り、10ノットの速さで南東に進んでいます。しかし、この速さで12時間進みますと距離にして120海里で、およそ福島県付近に達するにとどまり、問題文の通り、関東の東海上に達しないことがわかります。

 

次に、問3(1)①の考察では、初期時刻の18日9時の時点ですでに、地上低気圧は500hPa面トラフの直下にある、ということから、低気圧の発達は終わり、衰弱期に入りつつあることがわかります。

 

以上のことから、図7(下)の関東の東海上に予想されている低気圧は、どうも初期時刻の佐渡付近の低気圧がそのまま移動してくるものではなくて、12時間のうちに新たに発生が予想される低気圧なのではないか、という考えが浮かんできます。

 

そこで問題文の後半を読みますと、「18日21時に関東の東海上に予想される低気圧の予兆について、図1に見られる気圧分布の特徴」とあることから、その「低気圧の予兆」とは「低気圧の発生の予兆」と解釈できるかもしれない、ということで再び図1の低気圧を見ますと、低気圧の中心位置から見て、それを取り囲む1008hPaの等圧線の領域が関東の東海上に向かって南東へ大きく広がっています。

 

さらに、図7(上)の500hPa面トラフと図7(下)の低気圧の中心との位置関係も見ますと、500hPa面トラフは低気圧の中心より少し西側に予想されており、極大値との対応もよいことがわかります。

 

したがって、図1に見られる1008hPa等圧線の「南東への広がり」は新たな低気圧の発生の予兆を示唆しているものと考えられます。よって、図1に見られる気圧分布の特徴をまとめますと、

 

低気圧の中心を取り囲む1008hPa等圧線が関東の東海上に向かって南東に広がっており、新たな低気圧が発生しつつある。(58字)

 

(気象業務支援センター解答例)

1008hPaの等圧線で囲まれた領域が低気圧中心の南東側に広がり、関東の沿岸付近に新たな低気圧が発生しかけている。(57字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ