こんばんは。夜の街

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第53回試験・実技1・問1(2)

前回の(2)①では、鹿児島において初期時刻27日21時の3時間前の気圧変化傾向が下降後上昇していることを根拠の一つにして日本海の低気圧の中心が鹿児島から遠ざかっている、ということでした。

 

日本海の低気圧の中心が、東北東に35ノットで遠ざかっていくはずなのに、鹿児島における気圧は上昇しっぱなしではなく、前半部分で大幅に下降しているのはどういうことか、その要因について述べる設問です。

 

問題文を読みますと、やはり内容で引っかかる部分が、「①を含むじょう乱の移動に着目して」というところになるかと思います。ということは、①で考察した内容というのは、鹿児島における気圧変化傾向の後半部分については気圧が上昇に転じていますので、この点は日本海の低気圧が遠ざかることに伴う効果によるものという説明が付くわけですが、前半部分でなぜ気圧が大幅に下降しているかについては、この効果に勝る①以外の何らかのじょう乱の移動が要因になって気圧の下降が起きているため、「①を含む」という書き方になっていることが考えられます。つまり、この「①を含むじょう乱の移動に着目して」という部分がこの設問を解くヒントにもなっているわけです。

 

図1の日本海の低気圧をよく見ますと、あえて省かれているものがあります。それは問1(1)の問題の冒頭にも書かれています通り、「低気圧に伴う前線」です。そこで図1から単純に低気圧の中心から気圧の谷に沿って前線が延びているものとして位置を推定してみますと、温暖前線は中心から能登半島を通って東に延びており、寒冷前線は中心から南西に延びていて、初期時刻の27日21時では、鹿児島付近をまさに通過しようとしている位置にあると考えられます。すなわち、①以外の「じょう乱の移動」とは、日本海の低気圧に伴う寒冷前線の移動のことで、これに着目しなさい、ということになります。

 

27日18時から21時までの3時間、鹿児島は寒冷前線より暖気側に位置しているため、気圧変化傾向前半の気圧の下降時は、低気圧の中心が遠ざかることによる気圧の上昇の効果よりも、寒冷前線の接近による気圧の下降の効果の方が優勢で、後半の気圧の上昇時はこれが逆転し、寒冷前線が通過して鹿児島が寒気側に入りますと、その後も気圧は上昇し続けると考えることができます。

 

したがって、設問の気圧変化傾向の前半部分をまとめますと、

 

低気圧の中心が遠ざかることによる気圧上昇の効果よりも、寒冷前線の接近による気圧下降の効果の方が優勢だったため。(55字)

 

(気象業務支援センター解答例)

低気圧の中心が遠ざかることに伴う気圧上昇量に比べ、寒冷前線の接近による気圧の下降量が大きかったため。(50字)

 

ということになります。

 

では。バイバイ