こんばんは。星空

 


早速ですが考えてみたいと思います。

 



第50回試験・専門知識


図ア〜ウでは、アが10時、イが10時30分、ウが11時と時系列になっており、降水強度が50mm/h以上を含む降水域が地点A付近を南西から北東へ通過していく様子が示されています。

地点Aでは、10時に雨が降り始め、10時30分では、この降水域の降水強度が最も強い50mm/h以上の領域がかかっており、11時に降水域が抜けつつあるという状況です。

問題では地点Aにおける土壌雨量指数とZ川の下流にある地点Bにおける流域雨量指数の時間変化を示すグラフの組み合わせを選ぶというものです。

土壌雨量指数とは、降水による土砂災害の危険度の高まりを示す指標で、各地の気象台が発表する大雨注意報・大雨警報・土砂災害警戒情報の発表基準に用いられています。求め方として、降水が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているかをタンクモデルを用いて数値化しています。

 

(気象庁HP  「土壌雨量指数」 より)

 

「タンクモデル」の考え方は、上の図の右側のように3段に重ねた各タンクの側面に水がまわりの土壌に流れ出すことを表す流出孔があり、底面には水がより深いところに浸み込むことを表す浸透流出孔があると考え、第1タンクの側面の流出孔からの流出量は表面流出に、第2タンクからのものは表層での浸透流出に、第3タンクからのものは地下水としての流出に対応しています。なお、第1タンクへの流入は降水に対応し、第2タンクへの流入は第1タンクの浸透流出孔からの流出、第3タンクへの流入は第2タンクの浸透流出孔からの流出にそれぞれ対応しています。土壌雨量指数は、各タンクに残っている水分量(貯留量)の合計として算出され、これが土壌中の水分量に相当しています。

 

これを踏まえて(a)~(c)のグラフを見ますと、地点Aにおいて、10時に雨が降り出してから次第に降水強度が強くなるにつれて、急激に土壌雨量指数が増加することになると考えられますので、まず(a)か(b)のどちらかと考えることができます。

 

降水強度がピークに達する10時30分以降は次第に弱まって11時に止むわけですが、先ほどの「タンクモデル」のことを考えますと、(b)のグラフのように、地中の水分量が短時間で減少すると考えるのではなく、(a)のグラフのようにゆっくり減少していくものと判断されます。

 

したがって、地点Aにおける土壌雨量指数のグラフは、(a)ということになります。

 

次に地点Bの流域雨量指数について考えてみます。

 

(気象庁HP 「流域雨量指数」 より)

 

河川の流域に降った雨により、どれだけ下流の対象地点の洪水危険度が高まるかを把握するための指標です。

 

流域雨量指数は、全国の約20,000河川を対象に、河川流域を1km四方の格子(メッシュ)に分けて、降った雨水が、地表面や地中を通って時間をかけて河川に流れ出し、さらに河川に沿って流れ下る量を、タンクモデルや運動方程式を用いて数値化したものです。流域雨量指数は、各地の気象台が発表する洪水警報・注意報の判断基準に用いられています。ただし、ダムなどの人為的な流水の制御の効果や、潮の干満による流出入は考慮されていません。

 

これを踏まえて、再び(a)~(c)のグラフを見ますと、地点Bは地点Aから10km下流にあるわけですが、地点A付近の上流域で10時ごろから降水が始まって、Z川に流れ出た雨水が流れ下ってくるまでの時間を考えますと、地点Bの流域雨量指数が10時~11時の間に急激に増加することは考えにくく、11時以降に遅れてピークを迎えると判断されます。

 

したがって、地点Bにおける流域雨量指数のグラフは(c)ということになります。

 

よって、正解は②ということになります。

 

では。バイバイ