こんばんは。流れ星

 

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

第39回試験・専門知識

 

はじめに、4地点の鉛直分布の図に描かれている温位、相当温位、飽和相当温位について確認しておきましょう。

まず実線で描かれている「温位」とは、ある高度にある空気塊を断熱的に1000hPaの高度に上昇または下降させて揃えたときにとる温度(K)のことをいいます。

次に破線で描かれている「相当温位」とは先ほどのある空気塊における温位に、その空気塊に含まれている水蒸気がすべて凝結して、その際に放出された潜熱による加熱を上乗せした温位のことをいいます。

点線で描かれている「飽和相当温位」とは、問題文にあります通り、ある空気塊が水蒸気で飽和していると仮定して求めた相当温位のことで、ある空気塊の相当温位と飽和相当温位との差が小さいほど空気塊は飽和に近いことを表します。

これを踏まえて、(a)〜(c)の文を検討してみます。

(a)
「観測地点は強い寒気が流入している」とあります。また、「周辺では雪かみぞれが観測されている」ことから想像できるのは冬型の気圧配置ではないか、ということです。

 

大陸からの冷たく乾燥した季節風が日本海に流れ込みますと、海面水温の暖かい日本海の海面と接したときに海面から顕熱や水蒸気が供給されて暖かく湿った空気に変わり気団変質が起こります。このことによって大気の鉛直安定度が小さくなりますと、対流活動が生じて対流雲が発生します。

 

この対流活動によって大気がかき混ぜられる層では温位や相当温位がほぼ一様となり、対流混合層と呼ばれています。

 

一般的に気団変質によって形成される対流混合層は日本列島に近づくにつれ対流圏中層に達し、この上には逆転層が存在します。この逆転層の下端が対流雲の雲頂高度に相当します。

 

以上のことから、図を検討しますと、逆転層、すなわち温位や相当温位の急激な変化が700~800hPa付近で見られる図はアかイで、温位や相当温位が逆転層より下層でほぼ一様となる対流混合層が見られるのはこのうちのアの図ということになります。

 

(イ)

「観測地点の北側には梅雨前線があり」とあります。言い換えますと、梅雨前線の南側に観測地点があるということになります。つまり、このことは鉛直分布において、ある高度での明瞭な逆転層は見られないのではないか、と考えられます。このことから、ウかエの図に絞られそうです。

 

また、「周辺では強い降水が観測されている。」ということから考えますと、空気塊の中において、強い降水をもたらすだけの飽和に近い水蒸気量が含まれる必要があると考えることができます。

 

そこでエの図に着目しますと、大気下層から中層にかけて温位と相当温位の差が大きくなっています。つまり、温位にプラスして、水蒸気が凝結する際に放出される潜熱による加熱が非常に大きいということですから、それだけの水蒸気量が必要ということになりますし、また相当温位の鉛直分布が飽和相当温位のそれとほぼ沿っていることから、空気塊はほぼ飽和しており、高度の分布も一定に近いことから対流活動が活発であることが読み取れます。したがって、エの図ということになります。

 

(c)

「観測地点はオホーツク海高気圧の南側」で、「周辺は曇っている」とあります。観測地点の北側にあるオホーツク海高気圧から吹き出した冷たい空気が南下することで相対的に暖かい海域と接することにより雲が発生します。

 

しかし、気温と海面水温との差はそれほど大きくないため、発生するのは霧か層雲です。したがって霧また

は層雲を形成するには、湿潤な気層が大気下層に限られることが考えられます。

 

また一般的に上空ではブロッキング高気圧を伴っており、高気圧内の下降流による空気の沈降によって湿潤な大気下層との間に沈降性逆転層が形成されます。

 

そこでイの図に着目しますと、750hPa付近で温位・相当温位・飽和相当温位が急変しており、逆転層がみられますし、これよりも上空では、空気が乾燥していることが読み取れます。

 

したがって、イの図ということになります。

 

よって、正解は②ということになります。

 

では。バイバイ