こんばんは。星

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

ジェット気流は狭い範囲に集中してほぼ水平に吹く強風のことをいいます。特に、主として対流圏界面において存在するジェット気流に、「亜熱帯ジェット気流」と「寒帯前線ジェット気流」があります。

 

(a)

亜熱帯高圧帯では、赤道付近で空気が上昇し、北緯30°付近で下降する、ハドレー循環という、子午面循環が存在します。これだけですと、上昇した空気は北向きの流れになるはずですが、コリオリ力の影響で、北半球の場合、直角右向きに向きを変え、本文の通り、東向きに曲げられて、西風となります。

 

なお、亜熱帯ジェット気流の生成は、ハドレー循環に伴う、角運動量保存の法則が関わっていると考えられています。生成の要因が問われることがあるかもしれませんので、簡単に触れておきたいと思います。

 

 

角運動量は、物体の質量をm、物体の速度をv、半径をrとしますと、この3つを掛け合わせた物理量、すなわち、mvrで表わされます。物体が回転しているとき、その物体に外部からの力が加わらない限り、角運動量は変化しません。これを、「角運動量保存の法則」といいます。

 

例えば赤道上の地面から見たときに止まっている空気塊を考えます。これを宇宙から見ますと、地球の自転速度と同じ速度で西から東へ移動する空気塊でもあります。もしこの空気塊が北緯0°付近までやってきますと、地軸から回転する空気塊までの半径が、r から r ' に減少することになります。赤道上にあったときの空気塊と北緯30°での空気塊とで角運動量保存の法則が成立するためには、空気塊の質量は同じですから、北緯30°で半径が減少した分、空気塊の速度が増加することになります。

 

つまり、赤道上で地面から見て速度が0の空気はハドレー循環で北緯30°付近までやってきますと、角運動量保存の法則により、地軸との半径が短くなった分、空気の移動速度が速くなり、地球の自転速度を追い越す形で西風になることを表しています。

 

したがって、本文の内容は正しいということになります。

 

(b)

特に、冬季の日本付近や北米大陸の東岸では、大陸にある寒気と海洋の暖気が接するため、南北の温度傾度が大きくなり、ジェット気流が強まりやすくなります。特に、寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流との合流が見られると風速はさらに強まり、日本付近では風速が100m/sを超すことがあります。

 

すなわち、ジェット気流は気温の南北傾度の大きさが最も大きい中緯度付近に位置することになりますので、本文の内容は誤りということになります。

 

(c)

 

(気象庁HP より)

 

今の時期の天気の移り変わりをイメージしますとわかりやすいと思います。中緯度帯では温帯低気圧や移動性高気圧が次々に通過していくに伴って、寒気の南下と暖気の北上を繰り返すため、南北の温度傾度が大きい部分、すなわち寒帯前線の位置が大きく変化することになります。したがって寒帯前線ジェット気流は、時間的にも空間的にも位置の変動が大きくなりますので、本文の内容は誤りということになります。

 

(d)

(気象庁 地球環境・海洋部 気候情報課 「季節予報がターゲットとする現象と予測可能性について」より)

 

ブロッキング現象とは、本文の通りですが、中高緯度のジェット気流が南北に大きく蛇行・分流し、その状態が1週間以上にわたって続くことをいいます。梅雨期にオホーツク海付近でジェット気流が北へ大きく蛇行し、ブロッキング高気圧が形成されますと、長雨や日照不足、低温などによる災害をもたらすことが多いです。したがって、本文の内容は正しいということになります。

 

よって、正解は②ということになります。

 

では。バイバイ