こんばんは。星

 

早速ですが、考えてみたいと思います。

 

 

 

(a)

国際標準大気とは「一般気象学 」p46の表にありますように、地球大気の圧力、温度、密度、および重力の加速度が高度によってどのように変化するかを表したモデルのことをいいます。

 

これによりますと、対流圏における気温減率は6.5℃/km、すなわち高度が1km増すごとに、気温が6.5℃ずつ低下していることになります。

 

一方、ここからは、大気の熱力学で詳しく学習する内容になりますが、温位とは何かといいますと、空気塊が断熱的に上昇させたり下降させたりしますと、気圧によって温度が変化してしまいます。そこで未飽和の空気塊を1000hPa面を基準に上昇・下降させてそろえた時に示される温度が分かれば、その空気塊がどの気圧面に変化に変化しようが保存される量として扱うことができます。この1000hPa面のときの気温のことを温位と呼んでいます。

 

また、対流圏において、未飽和の空気塊が断熱変化をするときには温位は保存されます。つまり、乾燥断熱減率が10℃/kmと考えますと、国際標準大気における対流圏の気温減率6.5℃と差引きしますと、高度が1kmずつ増すごとに温位は3.5K(3.5℃)ずつ高くなると考えることができます。

 

したがって、「ほぼ一定である」とする下線部の内容は誤りということになります。

 

(b)

「一般気象学」p251の「1月における経度平均温度の緯度高度分布」の図によりますと、対流圏界面付近の気温に着目しますと、中高緯度よりも赤道付近の方が低いことがわかります。

これは赤道域の対流が活発なため、対流圏界面の高度が15~17kmた高くなることによるもので、対流圏界面が高い分、空気は高い高度まで上昇するため、断熱膨張により、冷却されるからです。

 

したがって、「中高緯度の方が低い」とする下線部の内容は誤りということになります。

 

(c)

成層圏において気温が最も高くなるのは高度50km付近ですが、オゾンの数密度が最大となるのは高度25km付近です。

 

成層圏の大気中にあるオゾンは太陽紫外線を吸収し光解離して生じた酸素原子が別の酸素分子と結合することにより生成されます。実はこのときに熱も生み出して大気を暖めているわけです。

 

高度25km付近と高度50km付近とでは、入射してくる太陽紫外線の強度は高度50km付近の方が強いですが、逆に酸素分子は少ないため、オゾンの生成量自体は少なくなります。

 

オゾンの数密度がもっとも多くなる高度は25km付近ですので「一致する」とする下線部の内容は誤りということになります。

 

よって正解はすべて誤りで⑤ということになります。

 

では。バイバイ