こんばんは。
早速ですが考えてみたいと思います。
(a)
本文を読みながら考えます。まず、「総観規模の大気現象では静力学平衡がよい近似で成り立つ。」とあります。
「静力学平衡」とあるので、Δp=-gρΔz という式が真っ先に浮かんできます。この式は気圧傾度力と重力(重力加速度)とが平衡、つまりバランスしていることを表した式なんですが、一旦おいて続きを最後まで読んでみます。
「静力学平衡では鉛直方向の運動方程式において鉛直加速度と鉛直気圧傾度力がバランスしている。」とあります。
この問題のポイントはこの太字にした鉛直方向の運動方程式と鉛直加速度の部分です。先ほどの式とは別に、静力学平衡を鉛直方向の運動方程式で表現しますと、
dw/dt = (-1/ρ)∂p/∂z - g となります。
まず、右辺の(-1/ρ)∂p/∂zは鉛直気圧傾度力、gは重力を表しています。
左辺のdw/dtは鉛直風速(w)の時間変化(t)を表していて、本文にある鉛直加速度とは、いまここでは空気塊を物体として考えていますのでこの部分になるわけです。
静力学平衡が成り立っているわけですから気圧傾度力と重力がバランスしている、ということは、右辺の差し引きで鉛直加速度dw/dt = 0ということになります。
したがって、重力と鉛直気圧傾度力がバランスしているので本文の内容は誤りということになります。
(b)
傾度風平衡は、低気圧の場合、気圧傾度力 = コリオリ力 + 遠心力
高気圧の場合、コリオリ力 = 気圧傾度力 + 遠心力
が近似的に成り立ちます。
台風なので低気圧の場合を考えますと、本文の内容は正しいということになります。
(c)
(小倉義光 一般気象学 p254より引用)
温度風については問6で考えてみましたのでここでは省略しますが、中層大気においても水平温度傾度が存在しますので対流圏と同様に考えることができます。
「一般気象学」の図は1月の例ですが、例えば北半球の成層圏の場合ですと、北側ほど気温が低く、南側ほど気温が高いですので、温度風は気温が高い側を右に見て吹くことになります。つまり西風となります。
ところが地衡風は高度とともに異なっていきます。高度90km付近になりますと東西風速は0となり、その上層になりますと風向が逆転して東風になっていることがわかります。
したがって本文の内容は誤りということになります。
よって正解は③ということになります。
少し、更新が遅くなりました。すいません。
では。