今回の試験の問題・解答例の発表から、1月の試験まで期間が短いということもありますので、早速考えてみたいと思います。

 

(a)

(島崎達夫著 「成層圏オゾン 第2版」 東京大学出版会 p41より引用)

 

図の縦軸は高度、横軸はオゾン密度で右へ行くにつれて密度が大きいことを表しています。

この図によりますと、緯度によってオゾン密度の最大となる高度は異なりますが、概ね高度20km~25km付近の幅で最大となっていることがわかります。

 

(小倉義光 「一般気象学」 東京大学出版会 p22より引用)

 

これに対して成層圏界面の高度は約50km付近となっていて温度が最大となっていることがわかります。

 

確かにオゾンの数密度は20~25km付近で最大となっていますがあくまで最大であり、その上空でオゾンが全くないわけではありません。太陽からの紫外線が大気中を通過するときに、その上空のオゾンに吸収されることによって空気が暖められます。そのため紫外線は下層へ行くにつれ次第に弱まりながら通過することになり、オゾン密度の大きい高度に届くときには

オゾンの紫外線による加熱効果は小さくなるというわけです。

 

また、空気は上空へ行くほど薄くなっていく、つまり単位体積あたりの空気の量が少ないために加熱の際に暖まりやすいという空気そのものの性質による理由もあげられます。つまりこれら2つの理由のバランスが整っている成層圏界面付近で温度が高くなると考えられます。

 

したがって、本文の内容は誤りということになります。

 

 

(b)

(小倉義光 「一般気象学」 東京大学出版会 p32より引用)

 

高度約100km以上になりますと、空気を構成する酸素や窒素の原子は太陽からの紫外線やX線を吸収することにより原子核の周囲を回転する電子がたたき出されるということが起こります。

 

電子はマイナスの電気を帯び、一方の電子をたたき出された方の原子はプラスの電気を帯びてイオン化することになります。このことを電離状態というのですが、高度100km以上のこうした空気を構成する原子が電離した状態で存在する層を電離層といいます。

 

図ではその電離層にはD層・E層・F1層・F2層と高度によって大きく4種類あることを示しています。中で最も高度の低いところにあるD層は図の横軸が電子密度を表していることからもわかるのですが他の層に比べて電離状態が弱いことがわかります。

 

したがってD層については本文の通り、夜間は日射がないとほとんど消失するのですが、上層にある他の層は夜間も消失することはありません。

 

よって本文の内容は誤りということになります。

 

 

(c)

(小倉義光 「一般気象学」 東京大学出版会 p34より引用)

 

図は熱圏内の温度の高度分布を示したものですが、ここからわかることは、太陽黒点の多いとき、つまり太陽活動が活発なときと太陽黒点の少ない、つまり太陽活動が弱いときとでは温度に大きな差があるということです。

 

これは太陽放射が常に安定しているわけではないことを示しているともいえます。

したがって本文の内容は誤りということになります。

 

よって、すべて誤りということになり、正解は⑤ということになります。

 

では。