こんばんは。
早速ですが考えてみたいと思います。
(小倉義光 一般気象学 p22より引用)
まず、問題文に「30hPa」とあります。大気の鉛直分布のどこの高さに位置しているか、この一般気象学の図で見ますと、およそ20km〜30kmの間で成層圏のおよそ中間にあたることがわかります。
ついでですが、成層圏の下部になりますと、赤道域で気温の低くなってなっていて分布が異なっていることがわかります。これは低緯度における対流圏では対流活動が活発なため空気が高いところまで押し上げるような形で対流圏界面が上昇するため空気の断熱膨張による冷却が起きるためです。このことについても問題でよく尋ねられますので、合わせて確認しましょう。
(廣田勇 グローバル気象学 東京大学出版会 p13より引用)
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その上で今度は「1月における帯状平均温度の緯度高度分布」の図を使って高度20km〜30kmあたりの気温分布に着目しますと北半球の極域で低く、南半球の極域で高くなっていることがわかります。
これを踏まえて(a)〜(c)の3つの図を見てみますと、(a)と(b)では極域の気温が低くなっており、(c)では極域の気温が他の2つの図とは相対的に高い分布を示しています。
したがって(c)が夏の極域ということになりますが、選択肢をみますと「南半球の1月」がありませんので、「北半球の7月」があてはまり、この時点で①か③に絞られます。
そうしますと残りの2つが北半球か南半球の冬の極域ということになります。(a)は等温線がバウムクーヘンみたいな同心円状ですが(b)は歪な形になっています。
この2つの違いを決定づけているのは大規模な地形の有無です。
北半球では対流圏において大規模な大気の流れがヒマラヤ山脈などの大規模な山脈の影響を受け発生するプラネタリー波が成層圏に伝搬するため大気が南北に蛇行する流れになります。
一方、南半球では大規模な山脈はアンデス山脈くらいでプラネタリー波はほとんど発生しません。したがって冬季の大気の流れは同心円状になります。
よって気温の分布もこれに伴うことから、(a)が南半球の7月、(b)が北半球の1月ということになり、正解は①ということになります。
では。