こんばんは。星

 

早速ですが考えてみたいと思います。

 

 

 

①  地上天気図

 

 

地上天気図と雲域Aとの位置関係を重ねると概ねこのピンク色に塗った範囲になるかと思います。したがって、「停滞前線付近」ということになります。「停滞前線」とすると、飛行機雲みたいな雲が細長く停滞前線上をなぞっている状態ではないので、おそらくアウトと思います。「停滞前線付近」とすることで面的な表現を示すことになります。ご注意ください。

 

②  500hPa面の渦度場

 

 

500hPaの渦度場と雲域Aとの位置関係を見ますと、ほぼ正渦度域と重なっていることがわかります。したがって「正渦度域」となるところなんですが、解答例を見ますと「リッジ場の中の正渦度域」とあります。確かに雲域Aはリッジ(気圧の尾根)の場に位置していますが、リッジ・トラフの場との位置関係は500hPa高度場との位置関係のことなので、「リッジ場の中の」と入れるのは無理があるなぁ、とは感じます。

 

実際に「正渦度場」とだけ解答して正解なのか、減点されるのかは採点の当事者ではないのでわかりません。問題によっては余計なことを書いて減点か不正解ということも有り得るので、僕なら「正渦度場」と書いていたと思います。

 

ただ言えることは、以前、実技試験は1点で合否が分かれる世界と書きましたが、一方では100点満点を取るための試験ではないとも言えます。いかに難問や微妙な問題を正解するかよりも、オーソドックスな問題でいかに失点しないかという試験であると言えるのではと思います。

 

③  850hPa面の相当温位場

 

 

最後に850hPa相当温位・風予想図と雲域Aとの位置関係を重ねてみました。そうしますと、まず答案として思い浮かぶことは「等相当温位線集中帯の南縁」というキーワードになるかと思いますが、今度の解答は25字程度で答えよということなので、それだけでは説明不足ということになります。

 

特に相当温位が最も南縁にある345Kの等相当温位線を含む高相当温位域の分布に着目しますと、華北~黄海~朝鮮半島北部~日本海~北陸・東北地方南部にかけて延びています。

 

あと、梅雨から夏の時期の高相当温位域は345K前後を目安に着目されると相当温位場の状況がつかみやすいです。

 

その高相当温位域の中でも対流雲が発達している雲域Aは高相当温位域の東端付近に位置していることがわかります。問題で問われていませんが雲域A付近では南西風が卓越していて、この南西風が多量の水蒸気を供給しているためと考えられます。ですから単に高相当温位集中帯に位置しているだけでは対流雲が発達しないわけです。

 

よって、まとめますと、

「等相当温位集中帯の南縁付近で、高相当温位域の東端にある。」(28字)

 

(気象業務支援センター解答例)

「相当温位集中帯の南縁で、高相当温位域の東端。」

 

③は「等相当温位線集中帯の南縁付近」以外の何だろうと考え込んでしまった方がいらっしゃったかもしれませんがなぜ「ここ」に対流雲が発生したのか、ご自身で対流雲の発生機構あるいは、相当温位とは何かなども含めて検証されますと理解が深まると思います。

 

では。