令和に入っても、まだ平成の桜を引きずります(苦笑)。
TERU兄、あんまり引っぱると怒られるよ。
す、すいません……
では、どんより曇りの日に桜を美しく撮る方法を書いときましょう。
それはズバリ、思いっきり露出オーバーで撮っちゃう!
たとえば上の写真のように。
これ、カメラの示す露出から2EVも露出オーバーで撮っています。
2EVもですよ。といっても、実感わきませんよね。説明が難しいけど、ふつう2EVも上げたら、写真は白っぽくなってしまう。
上の写真も、見方によれば「白っぽい」ですけど、それが幻想的な雰囲気に効いてますよね。
このように、作画での狙いがあれば、ガンガン露出補正しちゃっていいのです。
ここで少し技術的なお話をしますと……
曇りに限ったことではありませんが、カメラを空に向けると、カメラの示す露出はアンダーになります。
その理由をチコちゃんふうに簡潔にいうと――
「カメラはすべての平均を取ろうとするからぁ~」
ってことです。これまたチコちゃんふうに、追加の解説が必要ですね(苦笑)。
この世は、光が当たったところは明るく、そしてそこには必ず影ができます。明暗の差が生まれるわけです。またこの世はいろんな色で溢れてますよね。赤青緑などなど。それらの要素を絵の具の色と解釈してすべて混ぜ合わせると、灰色になるのです。
埃のクズを集めると灰色になるのと同じ。(埃も顕微鏡で見ればいろんな色が混ざっています)
つまりこの世にあるモノを「色」として見たとき、すべての平均を取ると、それは「灰色」なのです。(写真の専門用語では18%グレーといいます)
われわれ人間は、昼間の空が明るいのを知っています。洞窟の中が暗いのも知っている。だから単純に瞳の瞳孔で光量を調節するだけでなく、それらを脳内で補正して見てるんです。
でもカメラはそんなことわかんない(動物の瞳はわかるのにね)。だから空にカメラを向けると、「こりゃ明るすぎるわ。平均を取らなきゃと考える。
平均とは……そう「灰色」ですよね。白いはずのモノが「灰色」に写ってしまうのはこのせい。
「白」を「灰色」にするには、露出をアンダーにすればいいので、カメラは愚直にそうします。これは空だけでなく、雪景色にもいえます。雪は真っ白ですよね。だからカメラは明るすぎると判断して、雪景色を暗く(灰色に)撮ってしまう。
というカメラの性質もあって、えっ2EVも? と驚くほどの露出補正を加えなければ、あのように幻想的な雰囲気にはなりません。場合によっては、もっと露出を上げる必要もあるくらいです。
とはいえ、ご安心を。
一般的によく撮影する風景……たとえばドッグランで遊ぶノンちゃんとか、子どもの誕生日パーティーの記念写真とか、旅行に行ったときの思い出とかとか……を撮るとき、その風景の中はに明るいところと暗いところ、あるいはいろんな色があるので、カメラが考える「平均」で撮っても、ほぼうまくいきます。カメラもいろいろ進化してますしね。
なので露出補正が必要と思うことはあまりないでしょう。
でもね、露出補正を覚えると、写真の出来映えがグンと上がります。もうてきめんに。
閑話休題。曇り空の桜に話を戻しましょう。
じつは、曇りの日には、ひとつ利点(?)があります。
快晴の「青空」を露出オーバーにすると、せっかくの「青」が薄く(明るくなればなるほど白っぽくなる)なってしまいます。(逆に空の青を強調するには露出の調整だけでなく、偏光フィルターを使うなどべつのテクニックもあります)
でも思い出してください。曇り空は、最初から白っぽいのです。
そう。もともと色がない「白」なんですよね。なので、露出を2EVもオーバーにして、真っ白くしたっていいわけですよ。残したい「青」がそもそもないんだから。
と、いうわけで、曇り空のときは、写真として破綻するギリギリまで露出オーバーにしてしまうのも一つの手なのです。
上の写真はそうやって撮りました。花弁の輪郭が曇り空の「白」と溶け込んで、水彩画のような雰囲気にさえなってますよね。
これが狙いなのです。
こんなふうに、花の輪郭がぼやけるくらい露出をオーバーにして撮ってみましょう。
ただこの手法は、カメラの中だけで完結させるのが難しいという難点があります。
じつは、RAWデータを現像できることが前提です。
というのは露出オーバーで撮った写真を、RAWデータの現像処理で整える必要があるからです。
具体的には、カメラのダイナミックレンジを利用して、空のハイキーはそのままに、花弁のディテールが出るように調整します。このときコントラストも調整します。さらに露出オーバーにすることで失った「彩度」も無理やり戻してしまう。
こうして「絵」を作り込んでいくのです。
むかしモノクロ写真の時代は、暗室で似たような技法を使ってたんですよ。それがいまはカラー写真で同じことが(しかも薬品にまみれることなく)できるようになりました。
いやいやTERUさん。デジタルデーターの処理は、そんな簡単にできないよ。
という方も大勢いらっしゃるでしょう。
ですが曇りの日の基本は、ここまで極端でないにしろ「露出オーバー」で撮ることです。
たとえばこの写真も、1EVほど上げています。さっきの写真では、現像処理で無理やりいろんなことしてますが、この写真はそこまで変な(?)処理はしてません。
明るくきれいですよね。
この写真が無理やりな処理を必要としない理由は、「逆光」ではないからです。
完全な順光でもありませんが、半逆光程度の場所で花がきれいに見える場所を探し、そこで露出をオーバーにして撮れば、ほぼ、こんな写真になります。
「ほぼ」と書いたのは、やはり一手間はほしいから。料理みたいね(笑)。
ここでの一手間は、カメラの記録する色を「ビビッド」にしておくといいでしょう。あるいはカメラによっては「風景モード」でもいいかも。露出をオーバーにすると、どうしても彩度が失われますから、最初から少し補っておくのです。
その「露出補正」の決め方ですけど、カメラやスマホの液晶は、見た目以上に「きれい」に見えてしまうので、液晶で見ている被写体が「少し明るすぎるかな?」くらいのところでシャッターを押すと、ちょうどいい露出になることが多いです。
デジタルは、いくらでもトライ&エラーを繰り返せますから、一つの被写体も何枚か露出を変えて撮ってみるといいでしょうね。
と、こんなところでしょうか。
ノンちゃん、おわかりいただけましたかね?
ぜんぜん、わかりませーん♪
えっと……ノンちゃんはかわいいので、オッケーです(笑)。
では、明日も続きますよー。
10連休は長い!
ホントにもう、マジかっていうくらいに。
人間はこんなに休んでいいモノなんでしょうか?
と不安に思っちゃうのは、ぼくが日本人だからでしょうね(笑)。
神宮寺珈琲店 其の参 430円
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※10連休中はノンちゃん特集です!