やっぱり競争原理 | TERUのブログ

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つれづれに

先週エンジンの新技術について書きましたけど、あのエンジンが実用化されるとしても、まだ先の話です。

今日は、いまそこにあるクルマについて話しましょう。過去に何度か書いてきたクルマの安全技術について、久しぶりに明るいニュースがあるんですよ。

いま軽自動車の御三家といえば、ダイハツのムーブに、ホンダのNBox、そしてスズキのワゴンR。

過去の販売ランキングでは、常にスズキのワゴンRがトップだったのですけど、ここのところ、ライバルに水をあけられています。

理由はいくつかあると思いますが、そのひとつに、安全技術の差があるように思えるんですよね。ダイハツのムーブは、宣伝でも盛んに、「ぶつかならない技術」を謳ってますし、ホンダのNBoxも、横滑り防止装置などの安全技術が揃っています。

ところが、ワゴンRには、それら目立った安全後術がどれもついてなくて、しかもオプションでも選べない。仮に「少々高くなってもいいから安全装置を付けて」というお客さんがディラーに訪れたとしても、その要望に応えられなかった。

そういえば、つい先日も首都高を走っていたら、電光掲示板の何カ所かに『渋滞時の脇見運転・事故多発』と注意喚起が表示されていました。

ダイハツのムーブが採用した『ぶつからない技術』は、渋滞時の脇見運転による追突事故を、ゼロにするとはいわないまでも、限りなくゼロにできるでしょう。またホンダには標準装備されている横滑り防止装置も、事故を3割減らせるという統計が出てます。

スズキさんの軽自動車には、そういった最新の安全技術がまったくない。

というのでは、やっぱり販売にも影響が出るってことだと思います。いま日本は「安全は売れない」から、「安全じゃなきゃ売れない」へ変わっているところだと思うんですよ。

スズキさんは、頑なに「安い方がいい」という信念があるそうで(自動車雑誌にそう書いてあった)、それはそれで立派なんですが、ここまで安全後術が注目されると、さすがに見て見ぬふりもできないでしょう。実際、ワゴンRは売り上げが3位なんだし。

というわけで、ワゴンRが異例ともいえる早さでマイナーチェンジをして、このたび、めでたく「ぶつからない技術」を搭載してきました。標準装備ではなく、オプションですけど、その値段はなんと4万2千円だそうです。

うひゃー。

ダイハツの同様の技術が、5万円ですから、スズキは8千円もお得にしてきました! しかも後発だけあって、技術的にダイハツのそれより、優れている部分もあるようです(スズキの方式だと、雨の日でも誤動作しにくい)。

さすがは、安さが命のスズキさん。安全技術もお得にしてきました。安い方がいいといっても、スズキの車は安普請というわけではなくて、走りの良さに関しては、軽自動車の中で1位2位を争うそうですから、その上で、安全装置まで安くしてきたわけですね。ホントこういうところは頭が下がります。皮肉でもなんでもなく、さすがスズキと拍手したい。

スズキさんだって意地があるんでしょう。どーせ改良するのならと、安全技術だけでなく、燃費まで向上させてきました。まさに意地ですよ。

ところが、意地の張り合いでは、永遠のライバルであるダイハツも負けてない。ワゴンRのマイナーチェンジが発表されてから数日後に、ミライースという少し背の低い軽自動車をマイナーチェンジすることを発表しました。マイナーチェンによって、ガソリン車ナンバーワンの燃費を達成するそうです。

ホントにもう、意地の張り合いだわ(笑)。

こういう意地の張り合いを見て思うのは、競争というのは、市場には絶対に必要だということですよね。こんなに急激に軽自動車の燃費と安全技術が向上したのは、競争原理以外の説明を思いつきません。

何度も書きますが、競争の最前線にいるエンジニアや工場の方は大変だと思いますけど、ユーザーからすれば、とてもありがたいことでございます。

それに、最近はふと思うんですが、メーカーのエンジニアたちも、大変なだけじゃなく、やりがいがあるんじゃないでしょうかね。

ナンバーワンを目指して達成するのは、やっぱり気持ちのいいことだと思うのです。